自動車部品メーカー、コロナで「断末魔」か!? スマホ・PC向け「在宅需要」狙う (1)
2020年7月29日 12:04
6月の貿易統計(速報:財務省発表)では、全体の輸出額が前年同月比26.2%減の4兆8620億円となった。このうち、自動車が同49.9%減、自動車部品が同52.3%減とほぼ半減の落ち込みとなっているが、その原因は新型コロナの感染拡大の影響が大きく、自動車や部品メーカーは国内外の工場停止を余儀なくされている。
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そんな中、テレワークや自粛によるステイホームで需要の伸びているスマートフォンやパソコン向け部品の生産能力を増強するなど、多角化を急いでいる自動車部品メーカーがある。今後は、5G向けの部品も好調となるだろう。
こうしたメーカーとサプライヤーの関係、特に下請けと言える部品メーカーとの関係では、市況が悪化して発注側のメーカーの業績が悪化した場合に起きることだ。メーカーも自分が追い詰められて、「部品メーカーを助ける余力を失ってきている」ために起きる。企業の「断末魔」が、広く同時に発生する危険が迫っている。
グローバル発注であれば、メーカーは発注が減り、サプライヤーは需要のある所にシフトしていく。それで両者がそれぞれ生き残りを図るのが当たり前だ。しかしその後、市況が回復して量産しようとメーカーがした時、他の仕事がサプライヤーに入っているため、対応は悪くなる。こうして独立したサプライヤーを使い、メーカーが独自の製品を作ることが困難となって行くのだ。
そして、どのメーカーの造る製品も技術的には大きな差はなく、デザインであるとかソフトによるサービスの差であるとかに偏重していく。家電業界がたどった経過だ。自動車も特異な製品は少なくなり、「移動手段」としての機能が進み、メーカーごとの差はなくなっていく。するとコスト勝負になり、生産コストの低いほうが勝つこととなる。日本の家電がたどった末路だ。
これに陥らないためには、ネットを利用した受注システムに移行していく方向性がある。第4次産業革命(インダストリー4.0)だ。しかし、この動きには「自動車産業全体」で取り組む必要がある。
そこで現在の自動車サプライヤーの動きは、「断末魔」に結び付くものであることを認識してほしい。「我々の社会は、今、追詰められつつある」ことを認識することが急務だ。
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