終活事業を手掛ける企業も多彩化
2020年7月24日 08:13
私は6月19日の企業・産業欄に、『終活事業の多面化を図る鎌倉新書のいま』を投稿した。原稿書きの師匠である亀岡大郎氏が天に召されて1年余が過ぎた。なぜか終活事業に興味を深めている。他にどんな業者が活動しているのか、調べた。出会ったのが2009年に設立された、よりそう。
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創業者の芦沢雅治代表は、「幼少の頃から、世の中の不幸に疑問を感じていた。なんで不幸は起きるのだろうか。年端も行かないうちから堂々巡りで“何故”を考え続けていた」と言う。歳月、そして学びを重ねるうちに辿り着いた結論が「不幸の根源は資源や情報が均等に行き渡らない世界の構造にあるため」だった。ではそんな芦沢氏は何故、よりそうの設立に至ったのか。
NPO法人設立など「公平/幸せ」を求めて様々な行動・活動を経由した。が、壁があった。しかし根っからの不幸との対峙者である芦沢氏は、壁の前でへたり込んだりはしなかった。「収益を上げながらも不幸な人を減らす」道に舵を切った。
時まさにインターネットの黎明期。とはいえ、まだまだ生活者と企業の情報非対称性が激しかった。が、インターネットの生活者に則した活用に、「不幸(不公平)」を打破する道筋を求め見出したのである。「インターネットを活かしてなら、世の中を幸せにできると確信した」と言う。
狭小一間の雑居ビルが開業の地。人間の終活期の不幸解消に照準を合わせた。設立早々に「葬儀レビ」を立ち上げた。あの世に旅立つ人と葬儀社を結ぶ、ポータルサイトである。
たった1人の社員とともに、週6日ペースでテレアポ/飛び込みで会員葬儀社の開拓と取り組んだ。インターネットによる葬儀情報の提供の意義を「不幸をなくす」という持論を交えながら説きに説いて歩いた。真摯は天にも通じた。1年で提携先:300社体制を仕上げた。
設立後10年。葬儀関連サービスでは「よりそうのお葬式」、「お坊さん便」の2つのサイトが運営されている。詳細はHPに譲るが前者はNHKでも紹介された、「直葬」「火葬式」「一日葬」「家族葬」「一般葬」の5つのプランから構成されている。提供したプランに満足できなかった時は「費用の全額返済」が謳われている。全国3000の葬儀式場と提携。後者はネットを通じて定額(のお布施)で僧侶を手配できるサイト。
ポータルサイトも便利。全国の葬儀場が検索できる。
斯界には鎌倉新書というライバルがいるが差別化策は、という問いかけに「あちらはポータルサイトの運営がメイン。弊社は自らサービスを設計し提携パートナーの協力のもと提供するのが主軸」とピシャリ。
芦沢氏は今後を「現在手掛けている葬儀・供養の事業を成長させ、ゆくゆくは『ライフエンディング・プラットフォーム』を構築し、高齢多死社会である日本になくてはならない事業を展開する企業に成長したい」としている。(記事:千葉明・記事一覧を見る)