コマツのスマートファクトリー (7) 平準化による固定費の削減 見える化が宝物
2020年7月24日 14:29
■コマツ・KOM-MICS
コマツ・「KOM-MICS」は生産工程の「見える化」を進めていることは明確だが、それでは「何を見える化」しているのかが問題だ。紙システムからデジタル化で便利になったが、それでも工程ごとの正確な「工数」は掴めないのが、建設車両など少量生産の難しさだ。未だに「ロット生産」が残ってしまうのがこの世界だ。
【前回は】コマツのスマートファクトリー (6) 買い替え需要予測が目標?
■見える化が宝物
少量生産では、工程ごとに工作機械など専用の工程を置くことは難しい。また、「特殊な手仕事」が入ると工程が複雑になる。そのため、製品ごとの「工数」を正確に掴むのは不可能に近い。しかし自動化すれば、機械の記録から工程の始まりと終わりを掴むことが出来る。すると、「ムダな時間」があぶり出され、工程改善につなげることが出来る。
「見える化」を漠然と捉えるのでは「カイゼン」にならない。無駄を見つけられれば、「工程の組み換え」などの対策が出来る。流れ作業ではどうしても「ボトルネック」があるのだが、その前後では加工スピードの調整が起きて、ボトルネックが覆いかぶされてしまい発見が難しくなるものだ。
人間は自覚のない無駄を記録することが難しく、カイゼンが進まないものだ。実体を明白にすることが「見える化」である。自動機にするメリットは、実加工時間の短縮よりも、この「見える化が宝物」と言える。
❝具体的には「溶接では清掃のために停止していた時間を自動化で短縮する。加えて、大電流化することで溶接時間そのものの短縮にも取り組む。❞(MONOist「コマツが取り組むスマートファクトリー、協力工場にも広げる「つながり」の輪」より引用)
❝『溶接では清掃のために停止していた時間を自動化で短縮する』❞ことは出来ない。これには「工程の組み換え」あるいは「製造技術の革新」がなければ不可能だ。
この「停止時間」は、「工程の分離・並進」で短縮が可能なのだが、工程はそのままで、人手がかからなければ良いのだ。つまり、「加工時間」とは「人が行う時間」であり、コストなのだ。機械が行う加工時間は人件費に比較して微々たるもので、「コスト」と認識する必要がないことも多い。「人件費」が「コスト」なのだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)