コマツのスマートファクトリー (6) 買い替え需要予測が目標?

2020年7月23日 07:26

■買い替え需要予測が目標?

 コマツは、工場のスマート化(見える化)を実現する「KOM-MICS」の構築を進めているようだ。コマツの「KOMTRAX」は有名だが、これは世界に販売され広がった車両1台ごとをGPSやネットなどで繋ぎ、状態を把握するもので、工場の見える化とは直接のつながりはない。

【前回は】コマツのスマートファクトリー (5) スマートファクトリーで何を「見える化」?

 だがこれは、大変もったいない話で、将来はシステムを繋げて販売戦略データとする方向性になるのであろう。販売と生産を分離させておく方が、製造システムとしては不自然なことだ。ジャストインタイムを進めていくと、「材料仕入れ」から「ユーザー囲い込み」まで繋がっていることがわかる。すでに、コマツは行っているのであろう。

 おそらくは、購入時期、整備情報、可動情報などから建機(商品)の買い替え需要予測が出来てくるが、さらにAIが集める地域のネット上の情報などまで含めないと、市場予測を算出できる情報網とすることは難しいであろう。いや、それでもすでに出来ているのかもしれない。

 これらは、これからの「インダストリー4.0(第4次産業革命)」実現に必要なシステムである。コマツでは、「KOMTRAX」「KOM-MICS」などの統合と、ネットのビッグデータとの融合が進むだろう。

■平準化による固定費の削減

 発表によると、コマツはグローバル生産方針として「平準化」を進める方向のようだ。当然と言えば当然だが、前提条件として、世界の生産拠点の「品質の平準化」を進めなければならず、各国の事情が異なることから容易なことではない。マツダが取り組んでいるのも「平準化による固定費の削減」であり、これからの利益率の源となる。需要の増減にも強い体質構築とも言える。

 コマツの決算書で見ると、2019年3月期の連結売上高は2兆7252億円で、営業利益は3978億円。地域別売上高は、日本国内13%、北米25%、アジア(中国除く)14%、中南米13%。生産比率では、日本国内が40%となっている。日本は販売比率で13%、生産比率で40%ということは、目標としては「売れている地域で生産する」とはなっている。しかし、世界の生産拠点で「生産能力に準じて生産数を平準化」していることになり、「地産・地消」になってはいない。

 これは、まだ生産能力を販売高に準じて調整できるほどの生産能力ではないということだ。「輸出」製品を多くしてしまい、「現地生産・現地販売」の時よりも「ムダを出している」ということになる。ここは問題点であり、「改善を挑む」ファクタでもあるということだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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