投資運用で注視すべき主要なアメリカ経済指標とは 前編
2020年7月19日 17:22
各国の経済状況を推し量るための材料として経済指標があるが、世界の個人投資家や機関投資家は、この経済指標という各種統計を特に注視しているため、指標の結果如何で株式や為替はもちろん、多くの金融商品の需要が入れ替わることになる。とりわけ、アメリカの経済指標に対しては特に敏感だ。
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そんなアメリカの経済指標の中でも特に注目されているのが、毎月第1金曜日の日本時間21時30分(冬季は22時30分)に、米労働省の労働統計局から発表される雇用統計だ。アメリカの失業率や非農業部門雇用者数、週労働時間、平均時給など、十数項目について結果が発表される。
雇用情勢については、個人所得や個人消費などに直結する内容であり、さらには今後の景気動向にも大きな影響を与えるものだ。そして、この指標の結果を材料としてアメリカの中央銀行(FRB)が金利政策を決めていくため、指標発表直後には株式や為替を含む多くの金融商品の値動きが活発となる。
つまり、雇用情勢が良好と判断されれば、FRBは金融引き締めにシフトするため、政策金利の利上げにつながる。結果として株価が下がり、円安ドル高になり、債券価格が下落する。逆に雇用情勢が悪化していると判断されれば、FRBは金融緩和を目指すため、政策金利の利下げにつながる。結果はもちろん、株高、円高ドル安、債券価格上昇だ。
そして、株価に連動する金融商品についてももちろん、株価の値動きに反応して価格が変動していく。例えば、株高局面では原油需要が高まるために原油高になりやすく、安全資産とされる金(ゴールド)の価格は下落する。このように、たった1つの経済指標の発表で多くの金融商品が連動していくのだ。
なお、雇用統計の良し悪しについては、前回よりも上がったか下がったかという観点ではなく、発表前に公開されるエコノミストの予想中央値よりも良いか悪いかで判断される。予想を大きく外れると、ポジティブサプライズもしくはネガティブサプライズとなり、それだけ各金融商品の価格変動に強く影響を及ぼす。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る)