ウィズコロナの車販売 リモート商談花盛りは危険 (1) リモート商談は営業マン不要のワナ

2020年7月14日 07:53

■手間暇省く「リモート商談はワナ」

 外出自粛が続き、自動車販売のディーラーの現場では「リモート商談」に活路を見出そうとする動きが加速している。「商談時間が短くなった」、「指名買いが増えている」と「営業マンの手間暇が省けて仕事が楽になった」と言う声もある。

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 確かに、「来店して自動車を見て触って、試乗して決める」過程が省かれ、「ネットで調べ、ユーザー自身で決めてきてくれる」ため、ディーラー側の「手数が掛からない」ことはやりやすい。しかし、そのような「指名買い」であることが、営業マンの仕事を必要としなくなると同時に、「営業次第で売れる可能性もなくなる」ことにもなる。

 近年、クルマの営業マンが「手続きマン」と化していると感じていた。現場の営業マンの意見を聞くと、ほとんどの顧客がネットで下調べしてくると言う。つまり、ほぼ決心してから来店していると言うのだ。

 昔と違ってクルマの性能の基礎知識がユーザー側に乏しくなっているため、営業マン側からは「クルマを調べもしないで来店か?」と見る向きもあるのだが、ユーザーのほとんどはネットによってイメージをすでに持って来店しているそうだ。

 だから、営業マンに「おすすめのクルマはどれ?」と初めに質問すると、ほとんどが怪訝な顔をして最も小さなクルマをすすめてくる。最近、半数以上の顧客は軽四輪車か小型車に限られていると言う。トヨタ・カムリを見に行ったら、「大きなクルマは運転できるんですか?」ときた。このように、客を刺激して「買えるなら買ってみろ」と言った姿勢の営業は、昔から成績が良いそうだ。

■市場を作り出すには「手間暇がポイント」

 「指名買い」の処理は楽で良いのだが、その逆を考えれば、『指名買い以外の客は来店もしない』ということだ。つまり、潜在客を見つけるチャンスもなく過ぎてしまうということだ。市場が縮小していく時、こうした「刈り取りだけの営業」がさらに市場縮小を加速してしまうものだ。

 ゴルフ市場が手本になる。コストダウンを目指し安売りに走るしか方法がなくなるのだ。それがまた市場そのものの縮小を招くこととなる。

 『市場創造の営業』を目指さないと、売り先を失ってしまう。それはすなわち、「潜在市場」掘り起しの考え方を持つことだ。現在ディーラーの最大の問題点は「お役所仕事」になっていることだ。将来的にはネット販売に移行することになるのだが、その時ディーラーは単に手続きを受け持ち、整備だけが残される。さらに、EVになると半減する。営業マンは必要がなくなる。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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