不動産投資における本当の利回りと計算方法 前編

2020年7月11日 09:28

 大手銀行の普通預金の金利が0.001%程度、国債の金利が0.05%と、安全資産に対する利回りはほぼ皆無ともいえる昨今ではあるが、家賃収入で利回りを得ることができ、さらにローン返済後には自分の資産ともなる不動産投資については、投資対象がより生活に身近であるという意味でも検討する人は多い。

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 しかしながら、利回りが高く表記され、いかにも魅力的に見える不動産投資は、本当にその利回りで安定的な収益を得ることができるのか、十分な下調べをしなければならない。最悪の場合、毎年赤字経営を余儀なくされる可能性もあるのだ。

 不動産投資の利回り計算については数種類の方法があるが、投資用不動産の広告などに記載されている利回りの大半は「表面利回り」である。その名のとおり、あくまでも「表面上」の利回りであるため、不動産購入時の諸費用や管理費、税金などの諸経費が一切配慮されていない。そのため、不動産投資が総じて高い利回りを得ることができると勘違いしがちだ。

 表面利回りの計算方法は「年間家賃収入÷物件の購入価格×100」であるが、例えば、毎月の家賃収入が8万円、諸経費が年間24万円、不動産の購入金額が1,500万円とすれば、「8万円×12÷1,500万円×100=6.4」と諸経費が無視して計算されるため、年間で6.4%も利回りがあることになる。もちろん、この利回りが「表面利回り」として掲載されているのであれば、一切の偽りはない。

 本来計算すべき利回りは、得られた家賃収入から購入時にかかった不動産仲介料などの諸費用、固定資産税や都市計画税、管理費や修繕積立金など、諸々の経費を差し引きした上で計算されなければならない。そして、これらの経費を考慮した上で求められるのが「実質利回り」だ。

 実質利回りの計算方法は「(年間家賃収入-年間支出)÷物件の購入価格×100」であるため、先の例でいえば、「(8万円×12-24万円)÷1,500万円×100=4.8」となり、表面利回りと比べて1.6%も低く算出されることになる。

 しかし、実際には経費を引いただけでは正確とはいえず、現入居者の退去から新しい入居者が見つかるまでの間、空室となる可能性も加味しなければならない。この空室リスクを加味した利回り計算が「NOI利回り」である。当然のことながら、NOI利回りは実質利回りよりもさらに低い利回りが算出されるのである。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る

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