ウィズコロナ時代のパーティション(間仕切り)物語
2020年7月8日 14:30
ウィズコロナの時代、と言われる。
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コロナウイルス対策製品が生まれている。パーティション(間仕切り)もそのひとつ。厚労省は、人と人の間隔(ソーシャル・ディスタンス)の指針を「2m(最低1m)」とする。だがその距離を保つことができない場所も多い。
人が向かい合って会話をする相談窓口やレジのカウンターなどでは、透明なビニールやアクリルなどの素材によるパーティーションやカーテンの設置がみられる。机上に置くタイプのパーティーション、とりわけアクリル素材製が人気だとか。塩ビやペットなどアクリル似た材質でより安価なものもあるが、透明度が低いなどの難点がある。
パーティションのようにコロナ禍により急遽人気化したものは、専門メーカー以外の企業が製造を始めるケースもある。
横引シャッター。6月からアクリルパーティションの販売を開始した。オーダーメイドのシャッターや看板製作を主業とする同社がパーティションを製造したきっかけは、地元区役所の窓口だった。市川慎次郎社長は「たまたま区役所に行ったときに、アクリルパーティションを置いてあるところと置いていないところがあった。置いていない部署は窓口業務が少ない、つまり来客が少ない部署。が、問い合わせたところ、絶対数は全く足りていないという。うちは看板製作もやっており、アクリル加工もあるため、在庫が多少あった。パーティションの製作も可能。そこで足立区へ寄贈するために作った」と話している。
何度かヒアリング・試作を重ね、仕様を決定。最初の100台を5月15日に区役所に引き渡した。トラック1台に積めるだけ積み、数回に分けて市区役所に運んだ。
「『できる限り高さがほしい』という。1枚のアクリル板から既製品では3枚取れるが、足立区の希望するサイズでは2枚しか取れない。まあ使い勝手が悪いのなら意味がないので希望通りのサイズで作成した。職場では、立ち上がって話す状況もあり『十分な高さ』は重要」。
とはいえ、本来の業務とは勝手が違った。金物や鉄の溶接ではなく、アクリルをカットした後に手作業でフレーム部分の面取りなどは慣れない工程。しかし足立区への寄贈がニュースとなると(実は私もニュースで知った)、瞬く間にあちこちから問い合わせが殺到。販売用のアクリルパーティション製造を考えた。
「足立区役所へは、6月25日までで、170台を寄贈した。本業の合間を縫って、ということになるが、今後も寄贈は続ける。一般の企業からの問い合わせ・受注が多いのもビックリした。ここでも儲けようとは思わないが、薄利で販売することにした。会議室や打ち合わせ場での設置だけでなく、オフィスでの社員席での隣や向かい側へ設置が多い。改めて高さが重視されていることに気付いた」。
原材料のアクリルは、現在は品薄状態。相場はコロナ禍前の3割から4割ほど高くなっている。なかには2倍、3倍の値をつけているところもあるとか。弱みに付け込むと報いがくるぞ!(記事:千葉明・記事一覧を見る)