遅れた日産、先を行くマツダ、見通したトヨタ、売り方のスバル、出直しホンダ(5)

2020年7月6日 17:14

●見通したトヨタ
 トヨタ・「ウーブン・シティ(Woven City)」の構想を見ると、「第4次産業革命(インダストリー4.0)」を可能にする技術開発を進めているが、「どの様なビジネスモデルに変化するのか?」をまだ見定められていないと見える。「CASE」と呼ばれている技術的変化に対応することで「所有からシェア」に変化するのか?など疑問は多い。

【前回は】遅れた日産、先を行くマツダ、見通したトヨタ、売り方のスバル、出直しホンダ (4)

 COVID-19の感染拡大の場面であってもウーブン・シティ構想を進めていくとしたことは、近い将来のビジネスモデルの変化を身近に感じているのであろう。この半世紀余りの時間で造り方に努力してきた下地があり、「大きな変化に対応できる生産体制の準備が出来ている」ため、その先を見通そうとしているのであろう。最も造り方では優れた企業だ。

●売り方のスバル
 スバルは、このところ北米で「プレミアムブランド」と言っても良いような立場を築いている。値引き販売を抑え、利益率はトヨタに次いで高い水準を確保している。これは「販売方法」にコツが見えている。インダストリー4.0とは相いれないように感じるかもしれないが、それはユーザーが自主的に整備の補助や販売の手助けをするシステムであり、デジタル時代にあってもかなりアナログな方法によってプレミアムブランドの地位を得ている。

 この販売方法を各社は真似すべきであり、ネット社会であるからこそ、ユーザーがユーザーを手助けする動作が出来るメリットがある。ディーラー制度は地域密着の本質があるわけで、現在所有するユーザーからのアドバイスがあれば新規ユーザーにもなりやすくなる。「提案型販売」の典型を実践していると思われる。沈滞する日本市場を掘り起こすのには、最も適した売り方である。

●出直しホンダ
 未だに、プラットフォームを共通とするなどの生産の平準化によって採算分岐点を下げる方向に努力していない。本田宗一郎の「特徴ある車種」を開発してきたことにとどまり、また金融知識のグローバル経営者にしばらく率いられていたためなのか、「技術は買って来れば良い」などとなって自らの「ビジネスモデル(business model)」を見失ってしまったようだ。

 そのため「開発効率、生産効率」が悪化しており、利益率がほとんどない状態だった。そこにCOVID-19の感染拡大が追い打ちをかけている状態で、金融手当をしないと危険な状態に至る可能性が高い。こうした減産に対応する動きが、トヨタ・TNGAであったことをホンダ経営陣は理解できなかったのであろうか?経営者の責任をすぐにはっきりさせるべきであろう。

 ホンダは技術者集団の企業であったのだから、インダストリー4.0などの新しい概念を受け入れ、直ちに方向性を切り替えることを願ってやまない。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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