ローリスクハイリターン!? IPO株で投資運用を始めてみよう 前編
2020年7月4日 09:39
現金を投資運用に回すことに抵抗がある人がまだまだ多い時代ではあるが、ただ貯蓄し続けることも大きなリスクになりうることを、まずは認識しなければならない。それは長きに渡ったデフレ脱却のための政策を、日本銀行が積極的に行っていることに起因している。
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日本政府は日本銀行の協力のもと、アベノミクスの大規模金融緩和をスタートとしてインフレ方向に舵を切ってきた。インフレ、つまり、物価を上げることで経済における現金を円滑に循環させることが目標であり、日銀の数値目標は「年2%の物価上昇」であった。そのために様々な金融緩和策を講じてきた結果、物価上昇の目標は達成できないままとはいえども、日本円の価値としては大きく円安方向に振れたことは記憶に新しい。
昨今日本円が最も円高だったのは、2011年の1ドル約75円であるが、仮にその時代に得た10,000円の価値は、2020年現在の日本円の価値(1ドルが約107円)に換算すれば、3,200円分ほど価値が失われていると言っても過言ではないのだ。現在よりもさらに円安が進行していた2015年(1ドルが約125円)であれば、失われた価値は5,000円分にも相当する。
さらに、インフレを目標としている以上は、様々な物価の価値が日ごとに上がっている。簡単に言えば、2011年に10,000円で購入できた野菜の量と、2020年に購入できる野菜の量を比べてみた時、その量の違いから現金の価値が失われていることは想像に難くないだろう。いずれにせよ、時流に合わせて手持ちの現金の価値を変えるという意味でも、一定額の投資運用は行うべきだ。
しかし、いざ投資運用を始めようとしても、どんな種類の投資方法から始めたらいいのか、迷う人も多くいることだろう。投資の対象は、株式、国債、社債、投資信託、FX、CFD、オプション、不動産など数多存在し、その性質もハイリスクハイリターンのものから、ローリスクローリターンのものまで多種多様だ。
その中でも一番人気がある国債については、高齢者にとっても「安全である」と認識される投資運用である。国債は国の債権(借用書)であるから、国債の購入は国に対してお金を貸している状態であり、満期になれば利息が付けられた上で償還される仕組みだ。つまり、国が潰れない限りは利息が付いてお金が返ってくるという圧倒的な信頼感が、多くの世代に受け入れられているのである。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る)