28期連続増益を続けたヤオコーの何故

2020年6月30日 07:19

 6月24日の日本経済新聞電子版が、『連続増益 スーパー「ヤオコー」断トツの28期』と題する記事を配信した。「平成不況、リーマン・ショック、東日本大震災、新型コロナウイルスまん延―。これらの日本経済の危機を乗り越えて連続(注:最終)増益を遂げてきた企業群がある。3月期決算の上場企業を対象にランキングを作成したところ、埼玉県が地盤の食品スーパー、ヤオコーが断トツだった。2020年3月期まで28期にわたって増益が途切れていない」の書き出しの記事に私は、「やったり」とばかりに膝を叩いた。

【こちらも】株式投資は博打などではない (2)

 私は財経新聞のマーケット欄で18年11月中旬に『株式投資は博打などではない』を連載した。「中長期構えの優良株投資が、株式で資産形成をなす上の王道」を、具体例を挙げ記した。2回目の主役企業がヤオコーだった。この時は「この会社の強さは現場のパート社員への厚遇・配慮にある」とし、以下のような点を強調した。

★パート社員にも時給・勤務時間から容易に算出できるボーナス(夏・冬)が支給される。期初計画通りに純益増が果たされた時は、年度末手当も供与される。

★現場の主任クラスは、パート社員から選出される。

★パート社員も組合に加入できる。身分保証/安心感を生み出している。

 今回の日経電子版は、独特の総菜を編み出すデリカ事業部にスポットをあて「18年3月期にデリカ・生鮮センターを増設するなど、店舗作業を減らすインフラ整備で生産性を向上させてきた。同社の成長を振り返ると、少子高齢化、労働力不足、人口の都市集中といった社会構造の変化を先取りして、それぞれ個食対応・外国人採用・都市型店開発などに結び付けた不断のカイゼンが見て取れる」としている。

 拙宅からヤオコー松井店まで、徒歩約3分。日経電子版の指摘は実感できる。同時に改めて確信した。

 前3月期のヤオコーは「5.8%増収、11.1%営業増益、5.6%最終増益」、今期計画は「2.7%の増収、1.6%の営業増益、1.9%の最終増益」と派手さこそない。既存店売上高を昨年6月から今年5月までの1年間で見ると「前年同期比106.13%増」。着実に利益を積み上げる態勢が整備され、整い続けられていることが窺える。

 仮に私が「株式投資は博打などではない」-(2)でヤオコーを記した日の始値で買い今日まで1年半余保有していると、原資は株価の値上がりだけで16%増えている。時代を勘案すると堂々たるパフォーマンスといえよう。

 投資家に益をもたらしてくれる企業には、それだけの要因があるのである。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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