新型日産・キックス (2) タイ生産・予約販売なし 日本国民に真心を示すべき
2020年6月26日 10:26
今回の「新型日産・キックス e-POWER」のネットによる配信で気になった点は、ジャーナリストの質問の中で「予約販売、予定生産台数」について、真剣に答えていなかったことだ。一般ユーザー向けの配信中、経済新聞社などの質問事項を入れる意味が少々不明確だが、この内容には一般ユーザーの関心は低く、ある程度仕方がない状況であろうか。
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「予約販売がない」理由については、もともと「予約販売」はメーカー側の生産準備の都合であり、この期間が欲しいのは「ジャストインタイム」のメカニズムがまだ不十分であることを示している。現状ではどのメーカーも仕方のない状況ではあるのだが、予約販売の必要性がない方がより進歩していると言える。
しかし、今回の日産・キックス e-POWERについては事情が違っている。それは、既にグローバル市場(南米や中東では、2016年より販売されていた)では生産販売が進んでいる車種であり必要がないからだ。特に、販売台数が落ち込んでいる現状では「出来るだけ早く、多くの受注が欲しい」のが本音なのだ。その点、24日のネット中継での回答は、実に素直なものだった。
日産・キックス e-POWERの生産はタイで進んでおり、販売もされている。日本登場が世界市場で見れば4年遅れ、さらにタイと同時発売でないことの方が腹立たしい。日産は日本企業である自負心がないのであろうか。日本国内のディーラーは新車を心待ちにしている状況であるのにそれを後回しにし、フランス政府の意向を嫌ってカルロス・ゴーン元会長を追放したのなら、それは日本国民の支持を得ようとせず、何より日本市場を優先しない感覚であって腹立たしい。タイで生産し、比率は日本向け7割、タイ向け3割程度とされている。
また「キックス」のネーミングは、キックス(XIX、1995年)にさかのぼるようだが、実際には「名前の使いまわし」と言える状態だ。実情は、2008年2月に三菱自動車から「パジェロミニ」のOEM供給を受けたときの車両からとする見方が主流のようだ。だが実質、今回の車両が「キックス」として新登場となるような状況である。
日産には「スカイライン」のように伝統ある車両もあり、トヨタにも「クラウン」「カローラ」と言った経緯が明確な車両があるのだが、販売政策の都合でネーミングしてしまうことはどのメーカーにもあることで仕方がない。
だが、「日産・スカイライン」「日産・キックス」など素晴らしい商品価値のあるクルマを作れるのだから、日産はもっと日本国民の支持を得てほしいものだ。それにはトヨタのように、「日本国内生産台数300万台確保」といった雇用を国内で創出し、実質的に日本社会に貢献する姿勢が必要だ。ホンダにも言えることだ。
「販売施策」以前に、日本国民に「真心」を示すべきだろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)