『日産はカルロス・ゴーンでも変われなかった』 驚愕の事実、「技術の日産」に戻っていた
2020年6月22日 06:25
驚くのは、元日産自動車副会長でありCOOを務めた人物に、「開発と生産」の上に「販売計画」が成り立つこと、言い換えると「商品をいかに造り上げるか?」について、マツダ・「スカイアクティブ・テクノロジー」やトヨタ・TNGAの考え方が欠落している、或いはその重要度が極めて低いことだ。そのため、「インテリジェントファクトリー」の発表を社長自らが行わなかったのだ。つまり、現在でも「現場の生産の仕方」について、「資金効率の要」との認識がないのだ。
【こちらも】日産復活は財務分析では語れない クルマは新車開発と販売戦略だけの世界ではない
企業経営の最も中心になければいけない、そして骨組みとも言える概念が欠落していることだ。これは、カルロス・ゴーン元会長にも欠落していることを示している。日産が「日産リバイバルプラン(NRP)」を必要としてしまった原因を正しく理解できないまま、カルロス・ゴーン元会長の「財務的、投資的」経営手法で救われ、「技術の日産」に戻っていた事実を思い知らされた。
NRPを必要とする以前、「なぜ、日産が行き詰ったのか?」は、自動車設計や製造技術で劣っていた訳ではない。「生産技術」で大差をつけられていた現実を見定めることが出来ていなかった。つまり、現状のCOVID-19の感染拡大で減産に追い込まれ、固定費はもちろん、変動費削減もままならない「醜態とも言える状態」をさらしていることに気付いていないことだ。
志賀俊之元日産副会長が、カルロス・ゴーン元会長と共にCOOとして日産を率いた過去を振り返る次の記事がある。日産元COO、志賀氏が語る「後悔とエール」(日経ビジネス)
❝営業利益率8%と世界シェア8%を高らかに宣言した11年度からの中期経営計画「日産パワー88」でした。16年の世界全需が9000万台と見込み、720万台の生産体制を見据えて工場をいっぱい造ってしまった。これで販売を伸ばさなければならないという制約がかかり・・・。❞
確かに、増産と拡販が同期せず、開発能力を超えた計画であったのだろう。しかし、マツダ「スカイアクティブ・テクノロジー」のように、『サプライチェーン構築も見据えて設計段階からサプライヤーに参画してもらう』など、「混流生産」「順序生産」「スウィング生産」などの計画を基礎として意識できていれば、開発能力が追い付かず、モデルチェンジ間隔が延びて、商品の陳腐化を招くなどの失態は起きなかったはずだ。
『日産はカルロス・ゴーンでも変われなかった』が実態であったのだ。
このまま金融的テコ入れにより再び蘇り、「技術の日産」が復活しても、増産・減産資金を多量に必要とする体質は変わらないだろう。世界市況の変化により、またまた業績悪化がやってくる可能性はそのまま残る。
TNGAを学び、3社アライアンスの活かし方を見据えることだ。組織のガバナンスを造り上げないといけないが、「QCサークル」運動からやり直すことだ。「社員が3社アライアンスのメリットを崩し、崩壊に導いたとも」言える状態で、「いいクルマをつくろうよ」の掛け声の意味を探ることだ。これには最低3年、通常5年の歳月が必要だ。以下の記事を読んでほしい。
財経新聞 https://www.zaikei.co.jp/article/20200519/566839.html
マツダ、ホンダ、日産、生き残れるのか? (1)~(18) 【前置き】誤解するので読まないでほしい~
財経新聞 https://www.zaikei.co.jp/article/20200601/568926.html
『クルマは造り方を売っている (1)~(2)』日産、赤字転落を受けて改革成功の見込みは?~
財経新聞 https://www.zaikei.co.jp/article/20200604/569439.html
『クルマは造り方を売っているII』(1)~(5) BMW先行か? AIで「マスカスタマイゼーション」(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)