起業を目指すなら、イード(東証M)に学ぶのも一法

2020年6月17日 11:24

 世の中広いな、企業も本当に様々だなと痛感した。イードという東証マザーズの企業を調べたのがキッカケだった。

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 業界に特化したメディアサイト(自社開発、買収・再生)を前6月期末段階で、60サイト運営している。月間500本以上の記事(情報)を配信。月間の総閲覧数は1.8億ページビュー(PV)に上る。例えば代表的サイトの一つに「レスポンス」がある。自動車やバイクなどの製品情報・業界動向・試乗記など幅広いニュースを配信、月間のPVは6000万を超えている。

 こんなビジネスを考え出した創業者を知りたいと思い、調べた。私が社会人の第1歩を踏み出したラジオ日経(旧日本短波放送)が、2018年4月19日の『人生波瀾万丈』というコーナーで、イードの宮川洋社長のインタビューを放送していた。そこで、こんな事実を知った。

★高校・大学とテニスに入れ込んでいた。「テニスの(世界)サーキットを取材したい」とテニス関連の雑誌社を片っ端から受験した。が、快い返事はもらえなかった。そこで方針転換。「他の出版社に入り、テニス雑誌を作ればいいじゃないか」と、門外漢であるはずのパソコン関連の出版社:アスキーの門を叩いた。

★テニス関連の雑誌立ち上げは宙に浮いたが、アスキー入社が幸いした。折まさにインターネットの存在が急浮上したタイミング。「10年20年後には出版業界も大変な変わりようになるな」と直感。インターネット関連の出版社を立ち上げた。紆余曲折はあったが、11年に親会社からスピンアウト。経営陣とベンチャーキャピタルと組んで独立。いまの会社を立ち上げた。

 「マネーの達人」は、貯蓄家計・節約・投資などお金に絡むスキルをまとめた情報サイト。一つ一つ紹介していたらキリがない。だがイードの特徴は、運営サイトを全て独自の共通プラットフォーム(PF)で構築している点にある。

 PFはイードがこの間に培ってきた「SNS対応(=集客機能)」や「どこに広告を張れば閲覧件数が増えるか」などのマネタイムズ(収益化)、サイト間の記事交換機能などが凝縮している。

 他社のポータルサイトの情報配信サービスや、企業内イントラネット(企業内で接続されたインターネット網)への有料配信、自社メディア内の(サイトに絡む企業が出稿する)広告が収入となる。が、宮川社長はこう言い切っている。

 「サイトの組み換えとも積極的に取り組んでいる。これまでにも14のサイトを撤退しており、継続率は約72%。手掛けたサイトは全て収益化しているが、ジャンルに新しいビジネスチャンスが見いだせなければ撤退も検討する。逆にいまは収益性が低くても今後に拡充の可能性があるサイトには力を入れる」。

 堅調な収益動向は省くが、イードを調べ起業の成功は創業者の「一途な想い」と「発想法」に求められることを改めて痛感した。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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