空き家となる実家を相続した場合のリスクと対処方法
2020年6月14日 08:19
空き家とは「建築物又はこれに附属する工作物であって、居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地」(空き家対策特別措置法2条1項)と定められているが、全国に顕在化しつつある空き家問題は、少子高齢化という社会構造から引き起こされるものだ。
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つまり、都心部に生活基盤を持つ世帯について、遠方で1人暮らしをする肉親が他界したタイミングで遺産相続する不動産が、まさに空き家となるのである。
もっとも、兄弟や親族の誰かが実家を引き継ぎ住み続けるなど、利活用さえできれば問題は無いが、住むことも無く管理もままならない遠方の空き家については、むしろ資産に分類するのがはばかられるほど、リスクを多く内在させることになろう。
例えば、不動産を保有することで毎年、土地に関して固定資産税を払うことになるが、もともと住居(小規模住宅)が建築されている土地については、課税標準が6分の1に減額される特例措置がなされているため、実家を資産として保有したところで、さほど大きな出費にはならなかった。
しかしながら、2015年2月に全面施行された空き家対策特別措置法によって、特定空き家(倒壊など著しく保安上危険となる恐れ・著しく衛生上有害となる恐れ・著しく景観を損なっている空き家など)に認定された場合、この特例措置は適用されなくなる。つまり、毎年支払っていた固定資産税の6倍の税金が課されることになるのだ。
それ以外にも、空き家が虫害発生や犯罪の温床になる可能性などリスクは数えきれないが、このような空き家を活用するためには、住まいとして使用しない場合には、潔く売却を検討するのが望ましい。
現在、相続人が耐震リフォームまたは取り壊しを行った後にその家屋や敷地を譲渡した場合、その譲渡所得に特別控除が設けられているなど、空き家の相続問題解決が促進されている。
幼少期の思い出が詰まった実家を売却することに躊躇する気持ちも十分に理解できるが、朽ち果てて有害化していく実家をただ漠然と保有し続けるよりは、はるかに有益なのである。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る)