菓子関連EC企業cottaのBtoC注力の現状と理由

2020年6月11日 11:33

 3月19日の財経新聞:企業産業欄に『旧タイセイの創業者が「長女に社長を譲った」理由』を投稿した。タイセイは3月1日付けでcottaに社名変更。と同時に創業者社長の佐藤成一氏(62歳)が長女の黒須綾希子氏(36歳)に社長の座を譲ったことを、EC関連紙の編集長やアナリストが「禅譲と捉えている」理由を記したものだった。

【こちらも】旧タイセイの創業者が「長女に社長を譲った」理由

 cottaは「業務店向け(BtoB)」「菓子作りを楽しむ個人向け(BtoC)」に、包装紙や食材などを小ロットで「通販・ネット販売する」企業。

 いまコロナウイルス禍の影響で、菓子・スイーツ類のEC企業が好調だと指摘されている。cottaも3月のEC売上高は前年同月比30%以上増加した。チーズケーキが主力のケイシイシイも30%以上。フルーツの新宿高野では約36%。京菓子販売を手掛ける鼓月では、前年同月比を5割方上回る商品もあったという。

 ただこの限りでは、創業者から社長の座を禅譲されたcottaの黒須氏の手腕が光ったとは言い切れない。記した様に菓子類関連のEC企業が伸びを見せたからである。

 だが前回も意見を求めたEC関連紙の編集長は、「黒須氏の存在感は確認できた」という。

 店舗やレストランと並行して洋菓子販売のECサイトを運営する企業に、小川軒がある。ビジネスモデルはレストランの食事客が帰りに主力商品のレーズンバターサンドを購入し、ECでの再度購入につなげるという枠組み。

 新宿高野でもコロナウイルス禍に対する懸念が拡大する中で、大口の(法人)顧客からキャンセルが入ったと伝えられている。抹茶スイーツのロマンライフの法人向け販売も3月入り以降、ブライダル業界などからのキャンセルが相次いでいるという。不要不急の外出自粛要請やら緊急事態宣言発令の動きが、法人向け需要に陰りを落とし始めた結果といえる。

 そうした中、cottaは法人向け販売で前年比横ばいと踏ん張った。だが件の編集長氏は、「cottaもカフェやレストランの法人客需要が減少していく方向は、重々承知しているはず」とし、BtoC拡充に照準を合わせた積極的な施策を指折り数えてくれた。

★3月のEC売上比率向上を牽引したのは、家庭で菓子作りができる「タルト型(菓子型)用押し型セット」や除菌効果が期待されているオリジナル除菌水「アクアサニター」。

★インスタグラムの新機能「おうち時間」(3月27日に追加)の活用。要するに「幅広い人に商品情報を配信できる」機能。cottaはこの機能を活かし認知拡大を図っている。結果、投稿のPV数は通常の月より約6割アップしている。

 ちなみにcottaの本校作成時の時価は600円台半ば。3月の昨年来安値206円から戻り基調を示している。株価動向は何を語ろうとしているのか。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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