AI型防犯カメラは拡大するか
2020年6月9日 16:42
語弊はあろうが、いまや外出するといたるところで「防犯カメラに監視されている」気がしてならない。ちなみに7月8日は『防犯カメラの日』。2017年7月6日に監視カメラ等のシステムを手掛ける日本防災システムという会社が、日本記念日協会に申請・認可された。7&8は「なくなれ&はんざい」をもじったものとか。
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専門家に教えられた防犯カメラに関する諸々は後述するが、監視されている気がしてならないという意識の源流は16年1月にロシアで露呈した「大事」に起因している。ロシアのライブサイト「insecom」で世界120カ国余りのあらゆる防犯カメラの映像が、全ていつでも誰でも覗き見ることができることが露呈するという事態が起こった。諜報合戦の域を超えた、歴史的な事由である。
正しく使われれば防犯カメラに残された映像は、映し出された泥棒などの悪者の所業を立証する場合の大事な証拠となる。同時に悪事の抑止力にもなりうる。具体的には下着泥棒・エレベーター内の痴漢行為・行方不明の最後の様子・死亡事件での「自殺or他殺」の判断など、役立つ幅は極めて広い。ある防犯カメラを取り扱う業者からは、こんな現実も聞かされた。
「春の引っ越しシーズンになると際立ってくるのが、ゴミステーションの不法投棄。本来なら料金を払って産廃業者に依頼すべきTV・寝具・箪笥等々の粗大ゴミ。マンションやビルのオーナーには、ゴミ収集場所に防犯カメラの設置を勧めている」
「通常の建物では出入り口に防犯カメラを設置するケースが多い。だが侵入者(泥棒)も知恵を絞り、工事中で足場が組まれているような建物を探し出しことに及ぶケースが多い。修繕中だけでも、工事の足場に設置すべき」
「防犯カメラを設置してあるから安心、というのも危険。防犯カメラの内部にあるHDD(記録媒体用ハードディスク)は消耗品。数年で録画が不可能になる。メンテナンスが不可欠」
こんないささかイヤーな気持ちになる話も耳にした。「防犯カメラ自体の従来型の市場はほぼ飽和状態。我々業者とすれば、新たな市場開拓が不可欠。例えば、労務管理。実際にこんな開発が始まっている。タイムカードの代わりにAIを活用したカメラを入り口に設置することで、社員の出退勤を記録しようという流れ。コロナ禍の中で働き方改革の比重が高まっている。在宅・テレワークを真面目にやっているか、頻繁に外に出かけたりしてはいないかを監視するAI型防犯・監視カメラだ」。
そこまでいくと「防犯カメラとプライバシー」の問題が急拡大していこう。(記事:千葉明・記事一覧を見る)