コロナショックの概況とこれからの株式投資 後編
2020年6月7日 19:52
まず、コロナショックの影響が直撃する業種として、小売業、観光・宿泊業、航空業が真っ先に挙げられる。小売業の中でも一番打撃を受けているのは百貨店であろう。日本百貨店協会が発表した4月の売上高総額は、前年同月比72.8%減の1,208億円で2カ月連続して氏過去最大の下げ幅を更新した。一方で、スーパーマーケットなどの小売業については売上増が続いているが、外出自粛で外食が減っているという理由がそのまま直結している。
そして、観光・宿泊業、航空業については、インバウンドはもとより、国内についても移動自粛が為されている状況下では、如何ともしがたい苦境が続いていく。7月以降に、国民の国内旅行を促すはずだった「Go to キャンペーン」についても、事業費の2割にも及ぶ運営委託費に批判が殺到しており、コロナウィルス第2波への懸念も相まって、実施が難航するであろう。ただし、航空業の中でも航空貨物については、サプライチェーンの強化が求められる中で、需要が高まりそうだ。
続いて、コロナショックの影響をほとんど受けていない業種については、情報通信業、電気業・ガス業、不動産業・建設業が挙げられる。テレワークが普及する中で、携帯電話回線やインターネット回線はこれまで以上に需要が高まり、外出自粛の影響で電気やガスの光熱費も上昇基調とのことだ。
不動産業・建設業については、高騰し続けてきたタワーマンションの契約や、オリンピックを見据えた様々な建物の建築が粛々と進められている状況であるため、あくまでも「現時点」では影響が無いといえるだろう。オリンピック特需の後は、その時の日本が海外の投資家の目にどのように映るかによって、不動産業・建設業の明暗を分けるといっても過言ではない。
そして、コロナ特需で成長が見込まれる業種については、バイオ・医薬品業界、Eコマース業界、ゲーム業界である。新型コロナウィルスの治療薬・ワクチン開発が積極的に進められていること、外出自粛で家の中で過ごす機会が今後も増えるという見通しが、これらの業界を押し上げていくことは想像に難くない。
このように、コロナショックは世界の業界の縮図さえも大きく変えてしまおうとしているが、そのような状況下においての株式投資については、コロナショックが起きる以前よりも、投資先が描きやすくなっているともいえるのではなかろうか。アフターコロナ、ウィズコロナというニューノーマルの未来を見据えて、投資先を選んでいくべきであろう。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る)