マツダ、ホンダ、日産、生き残れるのか? (15) 融資トヨタ1兆、日産5千億、マツダ3千億

2020年6月3日 06:50

■自動車各社融資枠設定、トヨタ1兆円、日産5千億円、マツダ3千億円

 自動車大手が、金融機関に融資枠の確保を申し入れている。トヨタが1兆円を3月27日に発表、日産が5,000億円を4月9日、マツダが3,000億円を5月9日になって明らかにした。自動車各社の事情はかなり異なるようで、ホンダ、スバル、スズキなどは明らかにはなっていないが、動いてはいるだろう。

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 トヨタ以外は切実なものとなってくる。トヨタはサプライチェーン維持に使うのであろうか。大手サプライヤーも問題となってくるのは目に見えている。各社とも「体力勝負」となってきている。体力とは資金力である。これは「造り方」、すなわちTNGAをもってしても吸収しきれない事態が来る可能性があることを示している。

 まだ各社は、融資枠(コミットメントライン)の申し入れ段階であり、実際に融資が行われたとの報道はない。VW、GM、フォードなども同様の動きをしているようだが、これは当然だ。特に、流動資産6兆円もあると言われるトヨタの借り入れ準備は、サプライヤーの分であるようだ。日産では、元々フランスのルノーがひっ迫した状況にあったようなので、三菱自動車と3社アライアンスでどの様に対応するのか注目だ。

■ダメージはサービス業から

 この様子だと、自動車業界再編成が大きく動き出すかもしれない。その前に、製造業でこの規模であると、含み資産が薄い他の産業では既に死活問題であろう。流動資産などを厚く持っていられるには企業規模も大きくかかわるが、(1)製造業→(2)物流→(3)サービス業の順で「対応力」が弱くなり、早期に資金繰りに行き詰ると一般論では言える。

 例えば、サービス業、中小の飲食店などでは店舗を借りているのであり、固定資産や流動資産などほとんどない状態で固定費率も高く、売上げダウンは即座に危機となってしまう。芸能活動は、既に下部から浸透してきているはずだ。

 次に物流では、店舗であっても在庫金額があるため、平時から運用資金が多少なりとも大きく、資金繰り金額が大きい。そのため、小ロット仕入れと「提案型販売(売りたいだけ仕入れる)」を用いていれば資金繰りがしやすくなる。しかし、内部留保は持ちにくいため、危険はすぐにやってくる。

 それと比較すれば、自動車メーカー各社の保有資産は巨大で、人件費などもバッファーとなる規模ではある。特に、トヨタなどは利益率が高く、流動資産も大きく、固定資産もあるとなると、銀行借り入れをしながらでも持ちこたえられる限度が長く大きい。

 中小の工場であっても、店舗よりは固定資産があるため銀行支援も受けやすいと言える。だが、中小店舗では公的支援がないと厳しい事態だ。社会の文化レベルを決めているのは、中小飲食店やライブハウスなどの存在が大きい。保護する政策が必要だ。

 また、ANA、JALなどは大手と言っても、航空便がほとんど飛ばない状況では半年と持たない危険がある。しかし航空旅客企業は、国策としても支援するであろう。トヨタと言えども、売上げ4割減では1年は苦しいはずだ。

 さらに、新型コロナウイルスの感染拡大は1年以上続くと見なければならず、「世界の企業が危機にある」と言える。リーマンショックとの比較などでは、危機が構造的に違うため役に立つはずもなく、世界中で初期の新型コロナウイルスに対する認識は「とんでもなく甘かった」と言わざるを得ないだろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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