全期間固定金利型のフラット35と変動金利型の住宅ローンはどちらがお得? 後編
2020年5月31日 07:34
一方で、主に民間の金融機関が提供する変動金利型の住宅ローンについては、半年毎に金利が見直され、5年毎には返済額も見直されるというものだ。つまり、半年毎に見直される金利に準じて、毎月の返済額に占める利息割合が前後することになる。
【前回は】全期間固定金利型のフラット35と変動金利型の住宅ローンはどちらがお得?前編
ということであれば、現在最低水準の年1.300%(最頻金利)である全期間固定金利のフラット35を利用したほうが、良いのではないかという結論になりそうだ。だが超低金利政策が続く中での変動金利型は、フラット35よりもさらに低い金利が設定されており、2020年5月における変動金利は、0.400~0.500%前後の水準まで下がってきているのだ。
ここで、フラット35と変動金利を比べてみて、たかが0.9~0.8%の差だとあなどるわけにはいかず、住宅ローンは長期間に及ぶ借り入れとなるため、たった0.1%の金利差でも総返済額に大きな差が生じることには注意したい。
たとえば、3,000万円の住宅ローンを35年間の返済(元利均等返済)として、金利が1.0%であれば、総返済額は3,556万7,700 円となり、利息部分は556万7,700 円である。だが仮に1.1%であった場合には、総返済額は3,615万8,220 円となり、利息部分は615万8,220 円である。たった0.1%の金利差で、総返済額が約60万円も跳ね上がることになるのだ。
もっとも、変動金利型は現行の金利水準がこの先ずっと続くという保証がないため、最終的な総返済額がいくらになるかは確定しない。万が一にも、金利相場が上昇基調になった場合には、思わぬ不利益を被ることさえあるのだ。5年毎に見直される毎月の返済額は、上限最大25%の上昇が認められているが、仮に毎月10万円だった固定費が、12万5,000円になったとしたら家計のやり繰りは安定しないだろう。
そこで、金利は変動金利よりも割高であっても、全期間固定金利がゆえに総返済額も確定するフラット35のメリットが際立つことになる。毎月の住宅ローン支払い額も確定されるために、今後のライフプランに合わせた返済計画を立てやすく、貯蓄もしやすいのだ。
住宅ローンの金利については、全期間固定金利型のフラット35も、変動金利型も、現行の水準はかなり低いといえるが、完済まで安定的に返済をしたい人はフラット35を、現在の金利水準の恩恵を受けたい人は変動金利を選ぶことになるであろう。
もちろん、変動金利からフラット35への借り換えも可能であるため、一度住宅ローンを組んでしまったからといって見直しができないわけではない。その点については安心されたい。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る)