全期間固定金利型のフラット35と変動金利型の住宅ローンはどちらがお得? 前編
2020年5月30日 10:11
マイホームを購入する際には、住宅ローンを組むことになるだろうが、全期間固定金利型の住宅ローンと変動金利型の住宅ローンではどちらを選ぶべきだろうか。現在の金利情勢を踏まえ、全期間固定金利型の住宅ローンとして人気のフラット35を中心に解説していきたい。
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まず、フラット35については、住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携することで提供されている住宅ローンの商品であるが、このような提携をする背景には、民間の金融機関が単独で、何十年にも及ぶ長期固定金利型の住宅ローンを提供することが難しかったという背景がある。そもそも民間の金融機関は短期の資金で資金調達を行うからだ。
そこで、元々公的機関であった住宅金融支援機構が、民間の金融機関に貸し付けた住宅ローンの債権を買い取り、買い取った債権をMBS(資産担保証券)という債券に換えて投資家に提供するという方法で、長期の資金調達を可能としているのだ。つまり、フラット35は、住宅金融支援機構が主体となっている商品であり、民間の金融機関は申し込みの窓口として存在しているといってもよいだろう。
なお、フラット35で提供される金利の範囲は、2020年5月30日時点で、年1.300%~年2.030%となっており、最も多く設定されている金利は年1.300%だ(返済期間21年~35年)。金利が一定ではないのは、販売窓口となる金融機関によって、人件費や運用費などを金利として上乗せしているからである。
さて、この金利水準がどのようにして決められるかであるが、その仕組みは複雑であるものの、簡単にいえば、「10年国債金利」に連動するといってよいだろう。国債は国の借金が債権化されたものであるが、安定的である国に対しての債権を基準として、一個人への住宅ローンの債権に対する金利が決められていると考えればよい。
そして、現在の「10年国債金利」であるが、アベノミクスに応じた日本銀行の超低金利政策が継続しているため、2020年5月における「10年国債金利」は-0.007%というマイナス金利水準である。2011年5月の時点では1.155%だったことからも、過去最低水準といえる。よって、フラット35の金利についても、同様に最低の金利水準といえるだろう。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る)