コロナショック後3カ月における各国の株式情勢 前編

2020年5月16日 09:31

 中国を発生源とし、2月中旬から始まった新型コロナウィルスのパンデミックは瞬く間に世界中に広がり、株式市場はブラックマンデーやリーマンショックを凌駕するほどの暴落に見舞われている。

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 さて、そんなパンデミックから早3カ月が経とうとしているなかで、日本やアメリカ以外の先進国や、BRICsを始めとする新興国の株式市場はどのような状況になっているのだろうか。各国の株式指数を見比べていきたい。

 なお、比較の基準はローソク日足のEMA25とEMA75とし、EMAのラインより株価が上にあるか下にあるかで強弱を分類していく。EMA(指数平滑移動平均線)は、株式投資におけるテクニカル指標の1つであり、直近の株価の動きを元に、株価の平均値を示すものである。つまりEMA25とは、過去25営業日分の平均値と理解いただければよい。

 まず、5月15日現在、アメリカのダウ平均株価は、EMA75の下にあり、EMA25についてもやや下の位置にある。経済再開への期待と2次感染への不安との間で、世論が拮抗している様子が株価にも反映されているともいえよう。ただし、EMA75の下に株価があるということは、まだまだ力強い動きとは言い難い状況である。

 そして、日本の平均株価は、EMA75のやや下であり、EMA25のやや上にある。アメリカほど感染被害が深刻ではないことや、緊急事態宣言の一部解除による経済再開の期待が直近の株価を押し上げ、アメリカよりも株価は堅調だ。

 欧州のイギリスやドイツは、EMA75のかなり下、EMA25よりやや下にあり、カナダも近い動きをしている。そんななかでイタリアの回復は遅れており、EMA25に対して下離れしている。

 死亡者が欧州の中でも多いイタリアは、もともと特徴的であった高齢化社会によって死亡率が押し上げられたといえるだろうが、経済活動を早期に再開させたという懸念材料が足元でくすぶっているともみえる。

 もっとも、欧州がアメリカや日本よりも回復が遅い理由には、もともと抱えているイギリスのEU離脱問題がある。イギリスとEUとの通商交渉は12月末までに終える必要があるが、コロナウィルスが蔓延し、経済が疲弊した状況下において、難しい舵取りをすることになるだろう。(後編に続く)(記事:小林弘卓・記事一覧を見る

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