トランプ・米国 VS 習・中国の泥仕合で株価暴落再びか
2020年5月3日 17:13
米国では経済活動の再開か自粛継続かで大きく揺れているが、トランプ大統領はこの災難の責任を誰かに取らせようと躍起になっている。まず槍玉に挙げられたのが、アザー厚生長官であるが、それよりも深刻なのはその矛先が中国へ向かっていることだ。
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トランプ大統領は、新型コロナウィルスの発生源に関して、中国の武漢にある研究所から広がった可能性があるという認識を強め、その報復として対中関税を示唆している。
過去、米中貿易戦争が株式市場に与えたインパクトが甚大であることは周知の事実だが、そもそもの発端は、2018年7月から始まった米国の関税措置に遡る。
まず、米国が中国から輸入されるロボットなど約800品目340億ドル相当に25%の追加関税措置を適用し、中国は報復措置として大豆など約500品目340億ドル相当の米国製品に25%の追加関税措置を適用した。
さらに、翌8月には中国から輸入される半導体など約300品目160億ドル相当に25%の追加関税措置を適用、中国も負けじと、自動車など約300品目160億ドル相当に25%の追加関税措置を適用したのだった。
そして、翌9月には第3弾の関税措置を発動。米国は家具や家電など約5,700品目2,000億ドル相当に関税10%、中国も液化天然ガスなど約5,200品目600億ドル相当に関税5%(10%)をかけたところで、中国からの輸入品のほぼ半分、米国からの輸入品の70%に関税がかけられる事態となった。
この終わりなき貿易戦争を背景に、ダウ平均株価は10月初旬の高値2万6,952ドルから下落を続け、12月6日のファーウェイ創業者の娘で副会長であった孟晩舟逮捕を後目に、12月下旬の2万1,792ドルまで、なんと5,000ドルもの下落に至ることとなった。
もちろん、この大国間の泥仕合による世界経済への悪影響は明白だったことから、日経平均株価についても2万4,448円から1万8,949円まで、約5,500円もの下落に至っている。
結果、双方の歩み寄りによって株価はV字回復となったが、2019年にもこの泥仕合は再開され、その度に世界の株価は右往左往させられているのだ。
さて、コロナウィルスの責任の所在が中国にあるとし、早くも報復関税をちらつかせているトランプ大統領であるが、この脆弱な状況下で貿易戦争が再開されるとなれば、株価の暴落は免れないであろう。
そのインパクトは、世界各国の金融政策や経済対策の努力を水の泡にすらしかねず、コロナショックの底値を超え、2番底を形成することにもなりうることには十分に警戒されたい。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る)