ニトリHDの「35期連続増収増益、13期連続増配」予想に浮上した一抹の不安
2020年4月28日 07:56
ニトリホールディングス(以下、ニトリHD)の前2020年2月期は「5.6%増収、6.6%営業増益、4.7%最終増益、11円増配108円配」と、34期連続の増収増益となった。そして今期も「35期連続増収増益、13期連続増配」計画でスタートした。
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だがいま記した様な「連続」のストップ要因になりかねない問題が発生している。4月25日付けのJ-CASTニュースが、『ニトリ店員「休業」求めるSOS 自粛後も混雑続き「年末並み」「ボロボロ」』といった見出しで、「せめて土日だけでも休業に・・・」等々ツイッターでの社員の声を紹介している。また24日、ニトリHDの広報部が詳細は省くが、「様々な声は承知している。確認中。回答できる状況ではない」と問い合わせに応えたことも伝えている。
今後の施策次第では「批判」というマイナス材料(=客離れ)も予想され、かつ営業時間大幅短縮・休業となれば「連続」も予断を許さない状況となろう。今後の動きを見守りたい。
私は前期決算に触れ、(不勉強の誹りを覚悟で言えば)ニトリについて以下のような事実を知った。『ニトリHDの前2月期の通販売上高443億円。ネット限定商品が140%増』。ネットとリアル店舗の融合策が成果を着実に積み上げ始めているという流れだ。総売上高に占める割合も8%水準に達している。算短信にも、その方向性を重視する姿勢が読み取れる。
『当期の経営成績の概況』に、こう記されている。「EC事業においては、限られた店舗面積の中で取扱いが難しいサイズ違い・色違いなどの商品を展開し二段ベッド、オーダー収納家具等、商品展開数が少ない商品カテゴリー.をネット限定商品として拡大を図り、売り上げが伸長した」「オンラインとオフラインの融合を目指すO2Oの取り組みといたしては、ニトリ公式スマートフォンアプリを刷新。雑誌やインターネット上の写真や画像を元に、当社の取扱商品の中から同一・類似商品を検索・表示し、そのままネットショップで買うことができる画像検索機能に、商品の店舗在庫情報だけでなく店内の商品位置も確認できる機能も追加し、顧客の利便性の向上に努めた」。
ニトリHDの本校作成中の時価は1万6000円台半ば。年初来高値は2月初めの1万7000円台半ば。同安値は3月中旬の1万2000円台半ば。戻り基調の足取りをみせている。
コロナウイルス禍という、「10年に1度起こるかどうか」の大惨事が起こっている。収束の方向は見えない。「10年に1度云々」の大惨事としては、2008年のリーマンショックがある。世界中の株価指標が大暴落した。
そんな中で、いち早くリーマンショック前の水準に戻った株価指数は「配当貴族株指数」。米国の優良企業を構成銘柄とした株価指数に「S&P500種」がある。構成企業の内、「25年以上連続して増配を続けている企業」だけを組み入れた指数である。
長きにわたり増配を続けるためには、「好(堅)調な収益」「好財務状態」の継続が不可欠。配当貴族株指数がいち早くリーマンショック前の水準を回復したのも頷ける。
それだけに長らくの連続増収増益を背景にした連続増配記録が途絶えるのかどうかを左右しかねない、「勤務体系」動向から目を背けることはできない。(記事:千葉明・記事一覧を見る)