トヨタの世界戦略爆発 新型車『トヨタ・ヤリスクロス』 TNGAの真骨頂は「ガバナンス」?

2020年4月27日 07:46

 トヨタ自動車は、2020年4月23日に全くの「新型車」、トヨタ・ヤリスクロスをお披露目した。都市型小型クロスオーバーSUVとでも言えるジャンルで、新型車であることは間違いない。しかし、その中身はトヨタ・ヤリスと双子車であろう。「これは売れる」と実感できる。だがライズやロッキーなどと競合する部分について、どのようにトヨタが捉えているのかに興味が湧く。

 ヤリスクロスのプラットフォームはTNGA「GA-B」で、トヨタ・ヤリスと共有性が濃いコンパクトカー向けのものだ。ボディサイズは全長×全幅×全高=4180×1765×1560mmで、ホイールベースは2560mm。ヤリスよりも少しずつ大きくなっている。

 全長で240mm長く、横幅70mm幅広く、全高は60mm高くなっている。ホイールベースは10mmと、SUVらしく少しだけ長くなっている。寸法を見れば全く別物のプラットフォームだが、近年の合理化への努力により、生産ラインでは同じプラットフォームとして扱える仕組みになった。

 ヤリスクロスのパワーユニットは、ヤリスのものと基本的に同じであろうと思われる。多少のチューニングの変更はあるものと考えるが、やはりトヨタ・ヤリスのスポーティー路線を引き継いでいるものと見える。

 また、営業戦略的にも良く考えられているようだ。トヨタはある意味、日本政府の行政組織のように世界に広がった巨大組織だが、それでもガバナンスの行き届いた姿に見えるのは、そこに大変な努力があるからであろう。

 このあたりが、日産やホンダでも遅れているところである。しかし、日産も「インテリジェントファーム」として、違うプラットフォームでもラインでは同じものとして扱える努力を始めている。こうした工夫で「在庫」を減らし、「工程数」を減らし、場所、建物、運搬具、管理人員などを減らして、「総資金量」を減らすことに成功している。これは資本主義で最も重要な命題「資金効率を上げる」ことを目指してきている。

 グローバル企業と称し金融知識によって「資金効率」を上げると、自動車メーカーとしての本来のビジネスモデルを棄損してしまう。だが「造り方」「サービス業への転換」などの視点からトータルで勘案すると、長期のビジネスモデルが浮かび上がり、現在の施策が見えてくる。『新型車トヨタ・ヤリスクロス』から凄味を感じるのは、トヨタがこうしたビジネスモデルをしっかり見通していることの証明であるからだ。

 それでも、今般の「新型コロナウイルス感染拡大」は、トヨタの企業戦略に含まれてはいなかったであろう。ビジネスの難しさを実感すると共に、「地球温暖化」など「自然界での人間の営みの一部」まで見通せなければならないことをつくづく感じる。自動車業界は、全力で「地球温暖化阻止」に動かねばならない。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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