中国・三一重工、キャタピラーとコマツに「アフターコロナ」で挑む(3/4) 「重量物」生産

2020年4月25日 17:46

■厚板、「重量物」生産

 建設車両は自動車に比較して概して大型であり、工場は、重量物の生産に耐えなければならない。「重量物」生産は、軽量な製品製造に比較すると、「数倍~数十倍」の時間が加工にかかる。同じ加工であっても、大きいということはコストが数倍はかかるのだ。

【前回は】中国・三一重工、キャタピラーとコマツに「アフターコロナ」で挑む(2/4) 量産数の違い

 例えば、自動車にも建設車両にもタイヤを取り付ける「ハブ」という部品がある。タイヤ取り付けボルトが、ブレーキディスクと共についている部品だ。建設車両のハブは、タイヤが大きいために自動車に比べて大変重量が重い。

 私の会社では、小型~大型の建設車両用ハブを加工していたが、最軽量の車両のハブでも自動車のハブに匹敵する大きさであり、その超小型車種を除いて、材料や製品を人力で運搬することは困難だった。

 小型車種のハブでも材料で15キロほどあり、大きなものでは120キロにもなり、人力で工作機械に取り付けることは出来ず、ローダーを使うこととなってしまう。ローダーを使ってハブを運搬するよりも、手作業で動かすほうが遥かに動きが早く、特に工作機械に取り付ける段階では動作が遅くなり、トータルの加工時間では大きなロスとなっていた。

 こうした建機製造が、自動車に比べて大型ゆえの特性を持つことを理解出来ると、これを「トヨタ方式」、また進歩した「混流生産」にすると、【工程結合】するため極めて効率が上がる幅が大きいことがわかってくる。

 日本のコマツでは、1人の作業員は40数種の車種を組み立てることが出来るようで、「混流生産」が進んでいる。こうした生産方式のメリットが出やすいのも「大型、重量物」の生産であるのだ。

 それは、「中間在庫」を極力減らす【工程結合】にすることで実現する。材料から多くの工程を経て生産される仕掛在庫を極力減らすと、在庫金額だけでなく、在庫場所や設備、人員など計り知れないメリットが出てくる。

 「グローバル発注」の日産と、「ジャストインタイム」のトヨタとを比べると、見かけは「安いところから買う」とする日産のほうが有利であるようだが、そういった「総資金」などから比較するとトヨタが断然有利になるのである。

 さらには、「材料手配からの生産開始から納品引き渡しまで」のリードタイムが「劇的に短縮」出来るメリットは、総資金量が激減することだけでなく、営業競争でも有利になる。特殊アタッチメント装着などが素早く出来るため、建設車両販売の現場では大変有利な条件となる。その一方で、IT技術ではリードしていても「すぐに追いつかれる」のが常である。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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