トヨタ・ヤリス&ホンダ・フィット 「あれ?」と思わせる逆転の特徴 Bセグ競争 (1/2)
2020年4月11日 16:55
トヨタ・ヤリスとホンダ・フィットは、注目の車種だ。ホンダ・フィットは先代の不具合が続き、電動駐車ブレーキの不具合では発売が遅れていた。そのため、トヨタ・ヤリスとほとんど同時にモデルチェンジが行われ、激しい競争となっている。それもそのはずで、Bセグメントのこの両車は普通乗用車の売れ筋モデルであり、各社の販売成績を左右する。
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この新しい2台の特徴にはかなり明確な違いが認められるようで、その内容に「びっくり」なのである。半世紀以上前から、ホンダとトヨタのクルマにずっと接してきた者としては、今回のそれぞれの特徴は「逆」ではないのか?と驚かされる。
トヨタのクルマは「60点主義」とも言われてきたように、マーケットリサーチに基づいて作られるため、ドライバーにとって「使い勝手」は良いのだが、どうしても「走破性能」などの基本的性能に不満が残ることになっていた。対して、ホンダは「技術者が作りたいクルマ」で技術的に特徴ある車であった。
新型トヨタ・ヤリスはTNGAに適合するプラットフォームを使用し、WRC出場車のベースになる前提で開発が進められた。そのため、新型ヤリスは「走行性能」が高いクルマを目指している。BMWとの共作で出来上がったスープラでトヨタが学んだことは、まずレース仕様を造り上げ、それから市販車に取り掛かるBMWの開発手法だった。つまり、レースでの走行性能を優先してホイルベース、トレッドなどを先に決めて、後からパッケージングを決めていく手法である。新型ヤリスも、それを倣っているのだろう。
これまで、トヨタはマーケットリサーチに基づいて、先にパッケージングを決めてしまうことが手法だったが、今回は根本的に考え方が違っている。BMWは、この手法のために走行性能の高い車両となり、プレミアムブランドの地位を築くことが出来てきたと言っても良い。それによってBMWはあまり値引きをしないでも販売できるメーカーとなり、利益率を確保できている。これは、現在マツダも取り組んで切る方向性だ。
この方向性は、F1で活躍していたなどの過去を振り返れば、むしろホンダにふさわしいはずなのだが、グローバル企業となったホンダは、逆に特徴ある技術開発を目指さず「技術は買って来れば良い」とした経営方針となってしまい、商品としても特徴を失ってしまった。金融知識による経営者の判断であることは明白だ。
自動車産業では「車の特徴が商品力」となるのだが、その特徴を形作るのは「特徴ある技術」だ。ホンダは代々、技術的特徴を出した車造りで注目を浴びてきた。しかし、ここ最近は「どこにでもあるクルマ」としか認識できない状態である。
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