金相場の値動きで危険を察知する方法
2020年4月5日 17:32
コロナショックで暴落する株価を後目に、順調に価格を延ばしていったのが金相場であり、3月上旬には記録的高値である1,700ドルを超えた。
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市場では古くから「有事の金」といわれており、これまでもリスクムードが生じる中でドル安、株安となった場合には、投資家にとってのリスクヘッジ先として、必ず金相場の上昇がみられてきたのである。
しかしこの「有事の金」買いの勢いは続かず、株式市場の暴落と共に、金相場も3月中旬には1,450ドル付近まで値段を崩した。一体、資産はどこへ流れてしまったのだろうか。
今回の危機的状況において重要なのは、各国の中央銀行が大規模な金融緩和によって潤沢な資金を市場に提供しているとおり、「現金」である。
その現金化の流れが、本来はリスクヘッジ先になるはずの金相場にまで波及していることからも、コロナショックが未曾有の危機的状況であることが理解できるのだが、まさにこの動きはリーマンショック時の動きと酷似している。
リーマンショックで株価が暴落したのは2008年から2009年の間であるが、その問題がくすぶっていたのは2006年頃からのサブプライム問題であり、NYダウ平均株価は2007年10月11日の高値14,198ドルから、2009年3月6日の6,470ドルまで、下げ続けることになった。
一方の同時期の金相場といえば、2007年10月中旬の750ドルから、2008年3月中旬までは株価とは逆相関の動きで1,030ドルまで上げ続け、ここから一転して下げ相場に転じ、2008年10月中旬には680ドルまで下げ続けることになる。
つまり、サブプライム問題で一旦は金相場へと資産がリスクヘッジされたものの、問題が危機的状況とわかった段階で、金相場へも「現金」化の流れが押し寄せてきていることがわかるのだ。
このように、株式相場の動向を知るにあたっては、相関関係のある金相場の動向を観察することで、現在の暴落が一時的なものなのか、より深刻なものなのかを知るためのヒントになりうる。
4月3日現在の金相場は、安値の1,450ドルから息を吹き返し、1,600ドル前後の位置で推移している。これがダウ平均株価との逆相関となれば、現金化の流れが中断し、市場は一旦落ち着きを取り戻したということができるだろう。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る)