倒産高止まりの介護業界に吹け「そよ風」の風
2020年4月2日 09:02
1月7日、東京商工リサーチは「2019年の介護業者の倒産は111件と統計開始以来最高の17年と同じだった。16年以降4年連続で100件台と高止まる結果となった。小零細規模業者が倒産の8割を占める」と発表した。
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振り返るとユニマット リタイアメント・コミュニティ(以下ユニマット)は、言葉を選ばずに言えば、「良い買い物をした」と思う。
ユニマットの主力事業(総売上高の85%超)となっている介護(施設)関連事業の前身は、メデカジャパン。ジャスダック市場の上場企業だった。俗に言う「倒産株価(額面前後)」を余儀なくされていた。収益が芳しくないことに加え、創業者が取締役会の承認なくして「社債の引き受け」をおこない「詐欺問題」にまで発展したことなどが倒産株価の引き金だった。
メデカジャパンを数回、取材したことがある。スタッフの士気が冷え込んでいる、とその都度実感した。広報担当者から「社名を時として“メディカジャパン”と間違われることが少なくない。原稿を書くのならせめて社名の件だけは、正確に記して欲しい」と言われたこともあった。
そんなメデカジャパンが大きな転機を迎えたのは、08年4月のこと。1株179円で2122万株の第三者割当増資を実施した。引受先は現:ユニマット。メデカジャパンはユニマットの傘下に入り、「そよ風」ブランドの介護事業を展開する業者に転じた。
だがユニマットも必ずしも平坦な歩みを続けてきたわけではない。15年3月期:22%強の営業減益/16年3月期:43.2%の営業減益を強いられた。16年3月期末の総拠点数は「統廃合」に注力しながらも297。相応の図体になっていたがゆえに「適宜な介護体制が未整備」なことから「(夜勤等の)非常勤スタッフの増加」に走ったことで、人材確保のコスト増を強いられた結果だった。が、そこを底に、回復・再伸長過程入りした。
改めて昇り始めた証しともいえる施策に、「そよ風定期巡回」事業の拡充が挙げられる。「(契約者住居の)定期巡回」「随時対応型訪問介護・看護」の2本立て。前者ではいま、「IoT玄関施錠管理サービス」の実証実験を行っている。また昨年12月には初の「看取りサービス」に特化した施設を埼玉県に開設している。
昨年12月1日時点では関東圏:190を中心に拠点数も293まで集約が進捗。事業所数はデイサービス197をはじめショートステイ・グループホーム・有料老人ホーム・サ高住等619。今期計画の「7.0%営業増益37億9300万円」に対し、4-12月期実績の進捗率73%。
だが時価は1000円割れと安値ゾーンで低迷している。予想PBR0・5倍割れ。高齢化社会に不可欠なインフラに株価はそっぽを向いている、と言ったら言い過ぎだろうか。(記事:千葉明・記事一覧を見る)