トヨタとNTTが資本提携、グーグルに挑戦か? 「富士の裾野でスマートシティ事業」

2020年3月27日 17:08

 トヨタとNTTは3月24日、相互に約2000億円を出資し、「スマートシティ事業」を展開すると発表した。ものづくりのスペシャリストと情報産業の代表的日本企業が手を組み、米グーグルなどIT企業に挑むこととなる。

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 グーグルの親会社である「アルファベット」の傘下である「ウェイモ」などが先行するこの分野で、トヨタとNTTが競い合えるのかが注目される。ウェイモは、自動運転車でトヨタに先行する企業だ。

 トヨタは「スマートシティ事業」として、静岡県裾野市で「Woven City(ウーブン・シティ)」を建設することを2020年1月に表明している。「スマートシティ事業」とは、街全体の機能をソフトウエア中心に向上させ、利便性を住民にもたらす試みだ。街の中に、例えば交通手段の利便性を取り込んで効率よく機能させることで、「豊かな生活」を提供しようとするものだ。

 それはつまり、トヨタのクルマを「スマートシティ事業」の中の一部機能として取り込むこととなり、主導権は「スマートシティ事業運用者」になることを意味している。すなわち、トヨタが「ティア2」になることを覚悟したと見える。ティア1であるグーグルなどのIT企業が先行出来ているのは、「ビッグデータ」などAIを育てるのに必要なデータを握っているからだ。

 自動運転技術開発で先行するウェイモ自身は、車両製造しない方針であるようで、トヨタなど自動車製造企業はウェイモの「ティア2」として生き残ることを意味している。しかし、今回のトヨタ・NTT連合によって、スマートシティの都市のデータを収集・管理するプラットフォーム(基盤)を造り上げようとする動きでは、グーグルと競合することを示している。

 これはトヨタが先に示したことから逸脱し、その先は「ティア2」に甘んじることはないと宣言したことになる。

 この自動車製造業とIT企業との闘いは、「製造と制御プログラム」との争いととられがちだが、実のところ「両者は共存しなければならない関係」なのだ。つまり、車単体を販売するビジネスモデルから、「街の暮らし全体に関わるサービス」を販売するビジネスモデルに変っていくことであるのだ。

 それは、すなわち「製造とソフト」の組み合わせ技術であり、ますますソフトの機能を必要としていくであろうが、その基礎には「製造技術」が必須であり、さらには「大量生産技術」の必要があるのは明白だ。

 街の生活の利便性を追求すると、「便利な機能」の増加が見込まれる。「便利な機能」は人間と接する部分でどうしても製造物が必要であり、ソフトだけでは完結出来ない。人間の「衣・食・住」については必ず「物」に置き換えなければならず、どれほど進歩した「ソフト」があっても、それを役立てるには「物」が必要なのだ。

 コストの内訳ではソフトの割合が高まっていくだろうが、「ソフトとハード」の「一体的創造」が必須なのは変わらない。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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