【続・トヨタらしさ】を求めて 高資金効率は『素直・正直・ごまかさない・隠さない』
2020年3月14日 16:28
トヨタ自動車は3月3日、副社長職を廃止する人事を発表した。この背景には、「トヨタらしさ」を取り戻すことこそ、トヨタが「生き残る方策である」とする、信念にも似た思いが感じられる。
【こちらも】【トヨタらしさ】を求めて人事異動 苦悩する巨大企業は「カイゼン」の原点に回帰
「トヨタ生産方式」は元々、それまでのフォード方式やGM方式に比較して「資金効率」を劇的に向上させることが出来たため、現代の「量産システム」の基本となったのだ。いまではトヨタ生産方式を採用しない量産工場は、資本主義経済社会では生き残れない。
もちろん、中国でも同じだ。この「トヨタ生産方式」の前提が、『素直・正直・ごまかさない・隠さない』にある。
そもそも、『素直・正直・ごまかさない・隠さない』の逆をすれば仕事は順調に出来ず、混乱してしまう。それがなければ「仕事にならない」と言っても良い経営の鉄則だ。製造業においては品質問題が表面化した時に、それは明らかになる。
また、「お役所仕事」の悪い意味での最大の問題点だ。企業において、ごまかしたり隠したりすれば成り立っていかないのは明白だが、それが監督官庁で行われているとすると、社会全体が歪んでしまうのは当然だ。
2020年3月、「新型コロナウイルス」が蔓延しようとしている現在、『素直・正直・ごまかさない・隠さない』の原則を守らないと、感染拡大は止められない。「PCR検査」の数が絞り込まれており、「現状」が隠されてしまっている。「現状」がわからないのに対策が正確に打てるのだろうか?それで効率が良いのだろうか?
日常の仕事においても、「データ改ざん、或いは隠蔽」していたとすると、対策は正確に打てないことは誰もが知っていることだ。対策の効果が低くなり、かえって「コストがかさむ」ため、資金効率が低くなってしまう。
企業が『素直・正直・ごまかさない・隠さない』を目指すのは当然であり、その実現度が企業の寿命を決めてしまうのだ。しかし、現実の世界では「現実的」と称して【素直でなく・正直でなく・ごまかし・隠し】が当然とされている。だがそれは「甘え」であり、周りの『素直・正直・ごまかさない・隠さない』人々に頼って、社会の足を引っ張る存在となっていることだろう。
少数(約2割)の『素直・正直・ごまかさない・隠さない』人々が社会(企業)の業績を伸ばし、大多数(8割)の【素直でなく・正直でなく・ごまかし・隠す】人々を「ぶら下げている」のが現実だ。これは、昔から言われてきた企業経営に関わる認識の「基礎の基礎」であり、企業経営に半世紀あまり携わり、千社以上の企業コンサルを行ってきた筆者の実感でもある。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)