コロナショックは終焉するのか? 底値はいくら?
2020年3月12日 12:02
日経平均株価は直近高値の24,000円超えから5,500円下落の18,500円台(3月12日時点)まで一時下落し、NYダウ平均株価も直近高値の29,500ドル超えから6,000ドル下落の23,550ドル前後(3月11日終値時点)と、リーマンショック級の値下げ幅となった。
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新型コロナウイルスの猛威は中国から世界に広がり、各国が非常事態宣言や入国制限をするなか、経済の見通しが引き下げられていくのは当然だが、この流れはどこまで続き、底値はいくらになるのだろうか。
もちろん、底値を簡単に予想することは不可能だが、相場の格言でもある「もうはまだなり、まだはもうなり」という言葉が存在するように、世界情勢や値動きを常に観察することである程度の見通しがつくとも言える。
そもそも今年は「株価安泰」とも言われていた1年のはずだったが、これは、4年に1度行われる、アメリカ大統領選挙が控えていることに起因する。
実は、過去のアメリカ大統領選挙の年のダウ平均株価上昇率は、平均すると5%ほどで、1948年からの勝率で言えば、18戦でなんと「13勝5敗」の成績を誇るのだ。そして、最も下落したのはオバマ前大統領が当選した2008年で、ここがリーマンショックの年である。
このリーマンショックを含んでも、5%ほどのダウ平均株価上昇率を誇ることからも、「大統領選挙の年は買い」であることがはっきりとわかる。
そして、株価の上昇と共に支持率を維持してきたトランプ大統領が、この事態を良しとはしないことは誰もが想像に難くなく、早速FRBに圧力ともとれるツイートを行い、結果的にFRBは0.5%の緊急利下げを実施することとなった。
もちろん、FRBは独立した機関のため、政権の圧力で政策を決めるものではない。
しかしながら、大統領選挙を控えるトランプ大統領、そして、未曾有の事態とも言える新型コロナウイルスの蔓延を危惧して経済の循環を促すべく、早急な利下げに踏み込んだことになる。今回の利下げには株価の反応が薄かったとは言え、今後も現状打破のための動きが続いていくと予想される。
さて、一方で日本はどうか。
日本銀行はFRBに追随したいところだが、利下げをするにもすでに金利はマイナス金利となっており、マイナス金利の深堀りとなる。これ以上のマイナス金利深堀りは、存続危機となりつつある地方銀行に大きな影を落とすことになるため、積極的には行えない。
さらに、FRBが利下げをしたことで円高圧力があるなかで、円安に導き輸出企業をサポートするのは容易ではないだろう。
そのため、ETFの買い増しをして株価を底支える程度になろうが、国の機関による株価の底支えは健全な運用とは言えず、事態収束の見通しがつくまでは、厳しい展開が続くと思われる。
最後に、同じくコロナウイルスであるSARS(重症急性呼吸器症候群)が社会問題となった2003年2月前後、そして、エボラ出血熱が世界を震撼させた2014年8月前後の株価を振り返っておこう。
2003年に関しては世界的に経済循環が厳しかった年とも言えるため、日経平均株価も、NYダウ平均株価も10,000円(10,000ドル)を割り込んでいる状態であり、株価がSARSに過敏に反応することはなかった。
一方で、エボラ出血熱が世界に蔓延した2014年に関しては、9月の中旬をピークとして一旦調整し、1,500円(1,500ドル)超の値下がりを見せたあと、V字回復をした経緯がある。
急落時の株を購入するのは非常に勇気がいることだが、かの「オマハの賢人」ウォーレンバフェットは暴落をずっと待っていたと言われている。
「株式市場の時価総額÷その国のGDP×100」で示されるバフェット指数は、「暴落」レベルを表す100を割ってきた。
世界が混乱する今こそ冷静になって成長株を見極め、堅実に仕込んでいく時期であることを意識できれば、あなたもきっとバフェット同様、株式市場の勝者になれるかもしれない。(記事:小林弘卓・記事一覧を見る)