手遅れ?新型コロナ感染、自動車サプライチェーン以前にPCR検査の実施を

2020年2月28日 08:12

 中国・武漢に生産ラインがある日産自動車、ホンダなどが、生産再開を先送りしている。一方、トヨタは中国にある生産ラインを曲がりなりにも再開できたようだ。トヨタは日本国内にあるラインの停止も含めて、新型コロナウイルス対策を取ろうとしている。

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 他の各社も、政府による不要不急の会合などの自粛を求める要請に対して、対策を講じようとしているようだ。しかし2月27日現在、新型コロナウイルスを検出できるPCR検査能力について、韓国は1日1万3000件以上の検査が出来るのに対し、日本国内では1日最高1,650件程度の実績しかない。これほど桁違いの能力の差はあるのであろうか?もし、能力の差であるとすると「大問題」である。

 専門家の意見によると、日本でも民間の検査機関を動員すれば「1日当たり数万件」検査できる能力があるようで、政府は何らかの理由で保健所を通じてPCR検査を抑制していると見るのが正しいのであろう。

 この検査をしない現状では、国内感染者の数も正確ではなく、「2ケタ違う数の感染者が存在する」と指摘する専門家もいる。PCR検査を拒まれた患者の実例を見ると、規模はともかく、「重傷者や死者の中にも、新型コロナウイルス感染者としてカウントされていない人数が存在する」と見るのが妥当であろう。また、軽症者は数知れず存在すると見るべきなのかもしれない。

 こうした中で、企業が「休業」を含めて対策を考えていくのは至難の業だ。医療体制の維持においてはもちろんだが、自動車メーカーがサプライチェーンの維持を考えるに、現実の情勢を判断するデータが信用できないのでは、企業経営としては極めて不確実な要素を抱えていることとなる。日本国全体でPCR検査体制を整えることが、自動車産業にとっても「緊急の課題」と言える。

 PCR検査にも精度の問題などあるようだが、検査を制限していては何事も始まらない。疫学的な調査にしても数字が信用ならないのでは、不正確な知見に終わってしまう。現場の医師が必要と判断したのなら、検査を実施してマイナスはないはずだ。これを押しとどめる動きは、「何か別の必要性」を求めていると見える。それが何であるのか、政府は説明しない。

 現状の自動車製造において、部品供給・労働者などの手配は出来ているとすると、新型コロナウイルス感染の検査が出来ておらずに見通しが確定できないと、日本国内のライン停止を考え、別の生産拠点に「スイング生産」を行うタイミングなどを計画することが難しい。

 中国からの部品供給が困難で、例えばメキシコからの部品供給が出来るとしても、日本国内のライン停止と復帰の計画が立たない中で進めると、2重発注など損害が大きくなることとなる。

 日本国内の感染拡大を抑えることを考えるのであれば、何よりも新型コロナウイルス「感染の広がりの実際」を捉えることが先決である。社員への広がりも予測して対処しなければならず、判断は非常に困難である。

 国がPCR検査の精度を問題視して検査を拒否するのであれば、それは「的外れ」だ。検査をしない理由を探しているようにしか見えない。「情報が大事」と言われる現代であるのに、政府は「時代錯誤」でもしているのであろうか?

 また、日本は水際での「防疫」に失敗していると言えるのだが、そのように「後手」に回ってしまった政府の判断に従ってよいものであるのか?PCR検査を拒む体制にも疑問を抱かざるを得ない。

 それは企業側にとって、「従業員の生活保障の点」からの視点もあるからだ。この点に関しても韓国の法整備は進んでいるようで、既に国家予算としては5,000憶円規模の出費を決めている。シンガポールも5,000円規模の予算を決めている。しかし、日本は153億円である。

 当然に、アメリカCDC(疾病対策センター)から「日本は検査数が少ないようだ」と指摘を受けてしまい、日本の感染者数の信憑性が問われてしまっている。深刻なのは、検査を抑えてしまっているため既に「手遅れ」となっている実態が判明しないでいる可能性があることだ。

 すると、製造ライン停止などの施策がほとんど効果を上げることが出来ない恐れもある。また、いつまでライン停止を続けてよいのかも不安になる。何より実態把握を優先することは、全ての行動の基本であろう。

 政府は「開発中の簡易型検査機の普及」を考えているのであろうか?また「利権の匂い」のする情報だ。しかし、何より現在できることを優先していかなければ「緊急事態には対応できない」のが鉄則だ。PCR検査の精度を問題視するのであれば、簡易型の精度が安定するまでの間PCR検査をするべきであろう。これは、「救命」に関わる問題なのだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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