時間は現実ではない マサチューセッツ工科大学の物理学者が唱える説
2020年1月30日 07:07
私たちが普段追いかけまわされている煩わしい存在である時間は、実は現実には存在せず、人間が作り出している感覚的な幻想にすぎないと唱える物理学者が世の中には存在している。マサチューセッツ工科大学の物理学者マックス・テグマークらがその研究者たちだ。
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私たちが感じている過去から未来へ向かって進んでいる時間の方向性には、物理現象をその方向に向かわせるのにふさわしい説得量のある理論は存在しないのだという。私たちが感じている時間という概念には可逆性、つまり過去から未来へは行けるが、未来から過去へ自由に遡れるというフレキシブルさが存在しないのに対し、物理現象においてはそれが進む方向性に可逆性が存在すると彼らは主張している。どんな物理現象も逆方向に進む可能性があるのだ。
たとえば、私たちの宇宙は現在膨張する方向で物理現象が進行しているが、それが収縮を始めると時間が逆行しだすと多くの物理学者は主張する。アインシュタインも私たちの宇宙は空間の3つの座標軸と時間の座標軸を合わせた4次元の存在であり、空間座標も時間座標も自由自在に設定が可能な空間であることを示唆している。
つまり過去から未来に自由に行けるし、未来から過去へも自由に行ける可能性があることが示唆されているのだ。またこの主張が意味することは、空間にはいろいろな数値の座標であらわされるあらゆる場所が同時に存在しているが、時間もいろいろな数値、すなわち私たちが過去・現在・未来と認識しているあらゆる時代が、同時に存在していてもおかしくないということである。
私たちは、自分の記憶の中で過去はすでに起こり、想像の世界の中に未来は存在しているだけで、実際には未来はまだ存在しておらず、物事の状態というものは常に変化しているという幻想を頭の中でイメージしながら生き続けている。
人間は記憶も想像も現実とイメージの境目を特に意識することなく、自分の脳の中に宇宙の時空を再現していると表現しても間違いではないだろう。そんな人間の脳内に展開される独自の宇宙空間のみに存在しているのが、時間なのだとマックス・テグマークたちは主張したいのであろう。
宇宙は確かに人間の意識が存在しなければ認識もできないし、存在を認める意識が存在しなければ宇宙そのものも存在していないのと同じだと、多くの物理学者たちは主張する。
現実に存在している宇宙のほうには時間という非可逆的な存在はなく、人間の脳の中に展開されているイメージとしての宇宙だけに時間が存在しているという彼らの主張は、私たち一般人を混乱に陥れる。なぜならばタイムマシンのような存在はどう解釈してよいのかわからなくなるのは、私だけだろうか。(記事:cedar3・記事一覧を見る)