北朝鮮、ICBM・SLBMに使用の固形燃料を実験か 日本の核脅威は現実性を増した (2/3)

2019年12月28日 09:44

■SLBMと中国の海洋進出

 そこで、アメリカは原子力潜水艦SLBMに移行していった。ソビエトも同じだった。これで相互に先制攻撃を仕掛けても、必ず反撃されることが確実であるため「核抑止力」が働き、戦争が出来ない状況が引き続き確保出来ている。

【前回は】北朝鮮、ICBM・SLBMに使用の固形燃料を実験か 日本の核脅威は現実性を増した (1/3)

 現在、潜水艦探知能力でしのぎを削っている状況があるのは、そうした技術背景があるからだ。日本の沖縄周辺で起きている中国の海洋進出は、潜水艦探知能力に優れる日本の技術によって、少なくとも中国の原子力潜水艦の出入りが判明してしまうことを排除しようとの思惑があるからだ。

 将来、中国が覇権をグアム島付近まで伸ばそうとする時、当然に日本を支配しなければならない。しかし当面は、海洋覇権を太平洋に伸ばし、核戦略を完成させるために南シナ海の制海権と、日本の海上自衛隊に潜水艦の動向を探知されないことが必要なのだ。

■潜水艦建造技術

 SLBM搭載原子力潜水艦が探知されてしまうのであれば、核戦略が崩れてしまう。そのため、潜水艦建造技術が問題となってくる。

 海中の潜水艦の存在は、「音」が原因で探知されてしまうのだ。アクティブでもパッシブでも「音波」によって水中を探索するため、潜水艦の推進機関から漏れる音は禁物だ。潜水艦内のエンジン、シャフトなど動く部品からの音だけでなく、スクリューが水をかく音が問題となってくる。

 潜水艦の推進力を得るにはスクリューで水をかく方法が一般的でほとんど唯一の方法だが、これで音を出さないためにはスクリューの加工精度が問題である。これまでの中国の技術ではその精度が悪く、容易に中国潜水艦を発見出来ていたのだが、加工技術が上がったため、そろそろ発見が難しい原子力潜水艦が増えてきているようだ。

 日本の潜水艦は原子力ではないが、音を出さない製造技術は世界でも一流で、潜水中を動かす動力もバッテリーによるモーターだけではない。微動しか出来ないが無音エンジンを持っている。こうした精密な技術でしのぎを削っているのが、核戦略の世界なのだ。

 その他にロシアの新型ミサイルでは、ミサイル探知レーダー網の裏をかいて地球の裏側から攻撃出来る超音速巡航ミサイルなどがあり、事実上、条約を破って新技術が開発され続けている。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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