少子化時代と男の乳がん
2019年11月18日 18:44
先に10月10日付けの政治・社会欄に「50年前に予測された少子高齢化社会を回避しえなかった責任は誰にある!?」というタイトルの記事を投稿した。齢70歳のいま、仕事をする機会を得ている我が身は「幸せ」と感じている。
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だが「少子化時代」に関しては、孫(来春小学生になる)を持つ身になって不安が増幅している。「今年12月に7歳になる孫が60余年後、果たして老後生活の原資となるそれなりの年金を授受できるのか」等々、悩みが尽きない。「よしその分のなにがしかを、遺産として残してやる」ことなど、残念ながら叶わぬ話。
ゆえに少子化時代を諸々の側面から調べ「ホッ」とする事象に出会いたく、機会を見つけてはホッにアプローチしている。が、出会えない状態が続いている。今日もそうだった。
こんなことを書くと2003年の森喜朗総理や07年の柳沢伯夫発言に対して同様に強烈な「女性は子供を産む機械ではない」といった類の痛烈な批判が飛んできそうだが、これは私見ではない。日本乳癌学会がQ&A方式でこんな見解を公にしているのだ。
★出産経験のない女性は、経験のある女性と比較して、ホルモン受容体陽性(がん細胞を増殖させる)乳がんの発生リスクが高いことは確実。・・・1970年代から世界で非常に多くの研究が行われており、日本の場合は出産経験者に比べリスク率は2.2倍。出産回数が多いほどリスクは減少する。
★授乳経験のない人は、ある人に比べ乳がん発生率が高いことは確実。授乳期間が長いほど乳がん発生比率が低くなることも確実。先進国では開発発展途上国と比較して乳がん発生率が高いとされるが、出産回数や授乳期間が少なく短いことが関連しているのではないかと考えられている。
孫の1人は女の子。今度会ったら何気なく「●●ちゃんも、大きくなったらいいお母さんになろうね」と話しかけようと思う。
年甲斐もなく、乳がんに妙に興味を持ったのがいけなかった。こんな事実も知ってしまった。「男性でも乳がんは羅漢する」というのだ。いささかデータは古いが、2015年の日本乳癌協会に新たに登録された乳がん患者数は8万7000人余り。このうち男性は560人。率にすると1%未満だが、医師であり漫画家でもある近藤慎太郎氏(「医者がマンガで教える日本一まっとうながん検診の受け方 使い方」等の著作がある)の「男性の乳がん羅漢率は100人に1人」という発言に接すると妙に不安になる。
前記した10月10日にも登場してもらった高校の同級生:SSに再度電話した。「男が乳がんの疑い(鏡等で乳首周辺が膨らむ等が確認される)を感じた時、なに科にいけばいいんだ」と聞いてみようと思ってだった。「おまえさん、乳がんを疑っているのか。俺が見てやるから来いよ」。「違う、原稿を書くためだ」。「本来、乳腺外来だ。だがうちのような婦人科でも大丈夫だ」。そんな遣り取りをして電話を切った後、再度調べた。男性でも女性でも「触診」「マンモグラフィ(乳房用X線)」検査で診断。後の手術・治療法も同様だと分かった。
少子化時代への懸念に対する調べ事は、思わぬ結果になってしまった。(記事:千葉明・記事一覧を見る)