FCA・PSA経営統合 トヨタ1600万台にVW・フォード、ルノー・日産の対抗策は?
2019年11月10日 18:33
フィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とプジョー・シトローエンなどグループ(PSA)が、10月31日に経営統合を発表した。先ごろ、FCAはルノー・日産・三菱グループと破談したばかりだ。フランス・マクロン大統領の反対があったのだから、今回もどうであろう。
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自動車業界の急速な統合の動きには、技術革新に対する研究開発費の負担削減の狙いがある。CASE「Connected:コネクテッド」・「Autonomous:自動運転」・「Shared/Service:シェア/サービス」・「Electric:電動」を今後の自動車産業の指標と考えると、技術開発費が膨大になるとの予想だ。これを各社がそれぞれ負担していると重複してくることとなり、将来脱落する自動車メーカーが多く出ると見られているのだ。
すると、ホンダの生き残りは難しいと思われる。しかし、この見方も少々偏向しているとも考えられる。それはサプライヤーの存在にある。ボッシュなどサプライヤーが自動運転・EV・コネクテッドなどの技術の基本部品を開発し、自動車メーカーに供給するのが欧米のスタイルではなかったのか?
そうすると、ホンダの最近の方針に見られる「グローバル買い付け」で良いとのこととなる。日産自動車の方針もそうであったはずだ。日産はバッテリーの自社開発を諦めている。
トヨタを筆頭とするダイハツ・スバル・マツダ・スズキの緩やかな1600万台連合は、トヨタが中心として采配を振るい、技術開発費の分担が進むと同時に、各社の得意な分野の車種開発が進むだろう。トヨタは毎年1兆円を超える開発費を計上しており、これに連合各社の独自の資金が加わると膨大な技術開発費となる。
VWとフォードも自動運転やEVにおいての連携を見せており、ホンダがとても心配だ。今回の経営統合により、FCA・PSA連合でも開発費は約1兆円弱となる。
ただし、トヨタが緩やかな連合にとどめている理由をよく見てみると、ダイハツやスズキなどの軽四輪自動車からレクサスなどの高級車、マツダやスバルが目指すスペシャルティーな方向性までカテゴリーを包括してきている。さらに、欧州・北米・中国の3大市場に加えて、スズキの参入によってインド市場も強力になってきている。世界市場の覇権をも狙っているのは当然のことであろう。
どのような経営戦略であるのかは、「Shared/Service:シェアサービス」などが意外にキーポイントなのかもしれない。つまり、ビジネスモデルの大幅な変更だ。トヨタが一番苦慮しているところだ。
顧客に対する直接の窓口はグーグル・アマゾンなどのIT企業が抑え、製造業である自動車メーカーに作らせて、シェアサービスを広げる動きだ。そうであるのなら、ベンツ・BMW・アウディなどのプレミアムブランドとなったメーカーは、独自の生き残りの道があるはずだ。それには、小型車中心となってきたこれらのメーカーの生産内容が気になるところだ。
それとも、ポルシェの生き方が正解なのではないであろうか?その中で、ホンダ経営陣の経営戦略は無策に見えるが、グローバル買い付けがこれを救うのであろうか?(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)