訪問診療医師の良きパートナーPAとは
2019年10月21日 16:50
死生観も様々だろう。どんな死に方をしたいか。それも死生観の範疇に入ろう。「終活」なる言葉を耳にしだしたいま、「望む死に方」に思いを巡らす高齢者も増えていると考える。
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私は自らの死に方を、こう決めた。(不治に繋がる)病にとりつかれた時は、自宅の畳(ベッド)の上で、家内に疎まれても訪問(ペイン)治療・介護・介護を受け臨終を待つ。
入院、ましてやホスピス病棟で死を待つなど嫌だ。住み慣れた家で死期を迎える。家内と2人の子供にも、その旨は既に伝えた。「まあ、できるものなら好きなようにしたら。どうせいざとなったら、狼狽えるばかりだろうから」と見透かした様な言葉しか返ってきてはいないが。
が、そう決めたのにはそれなりの理由がある。PA(physician assistant/医者のアシスタント)と呼ばれる「無資格」の医者の助手という存在を知ったからだ。ノンフィクションライター:重松明子氏の作品(記事)が教えてくれた。
東京都板橋区にある在宅診療を手掛ける「やまと診療所」の院長:安井佑氏が生みの親。東大医学部を卒業後に途上国で医療活動に従事した安井氏は、米国では国家資格であるPAの必要性を痛感した。それが、やまと診療所のPA制導入の引き金になった。診療所のホームページには安井氏を含む8人の医師と同時に19人の「PA」が紹介されている。
医師とPAは行動を共にする。無論、PAが診療を行うわけではない。PAの仕事は診療現場に同席し患者と医師の、かつ自らも口を挟むことで「必要な事」を把握し「こと」を実現する為の取次役を行う。訪問看護士や介護士への仲次。そればかりではない。患者が「××に出かけて何々を見たい」と望めば、それを実現する為の手配を担う。
19人のPAは4年前に始まった「在宅医療PAプログラム」で、コミュニケーショントレーニングを受け3年間の見習い期間を経た面々である。学歴・職歴不問。「人が好きで素直なこと」が唯一の条件だという。
PA制は徐々に、元やまと診療所の非常勤医師だった人など「賛同組」により広がりを見せ始めているという。
だがしばし指摘されるように、日本の「医療」の世界は閉鎖的。PAを医療従業者が認識し積極的に導入と取り組むまでには、厚い壁があると捉えざるをえない。ましてや「国家資格」の段階にまでことを進めるには、どのくらいの時間が必要か見当もつかない。
私の住処の周辺に「埼玉県所沢版やまと診療所」はない。私が望む死に方が可能になるまで、果たして命の灯は持つのだろうか!?(記事:千葉明・記事一覧を見る)