トランクルーム増加時代、その表と裏を覗く

2019年10月8日 18:36

 市場調査で定評の矢野経済研究所が、トランクルームなど収納サービス市場についてこう配信している。「右肩上がりで推移している市場規模は、2018年度で約743億3000万円に達した見通し。20年度には829億3000万円規模に及び増加トレンドは、今後も都市部から地方での展開も予想され進み続こう」。

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 確かに周辺に目を配ると、「あっ、ここもトランクルームになったのか」というケースに遭遇する。増加傾向について「共稼ぎ夫婦が増え、近郊の一戸建て住宅から通勤至便なマンションへの住み替えがある。マンションの場合は一戸建てに比べ収納スペースが少ない。常時必要ではない品物や季節外の洋服などをトランクルームに収納しておくケースが増えているため」などと解説される。

 またビルなど不動産オーナー向けに「空室」対策として、「トランクルームのススメ」を専門に展開する業者なども出現している。千葉県市川市に拠点を置く、ストレージ王などもそんな1社。

 ニーズに応じトランクルーム専用の建屋建設や、ビルの空室にトランクルームを開設するなどし、運営管理も手掛ける。現在、1都1府9県で120カ所近いトランクルームの運営管理に当たっている。例えば地元:市川市で展開している具体例を、知り合いの不動産担当記者からこんな風に聞いた。

★JR市川駅近くに、築30年を超えた賃貸ビルがある。新規のテナントも呼び込めない状況だった。相談を受けたストレージ王は、2階フロアをトランクルーム(24室)に改修することを提案した。

★開設前から広告やチラシでリーシング(入居者募集)を行い、オープン時には半数以上が埋まった。いまではオーナーもホクホクの呈の高稼働率を維持している。トランクルームがあるということが、新規テナント集めにも功を奏した。

★1日24時間365日使用可能で、使用料は平均月額3240円(税込み)と手ごろ。かつ空調・照明・セキュリティ(防犯カメラ設置)が充実している。「トランクルームブームの中で、差別化戦略が徹底されていると実感した」と記者は話をまとめた。

 が、そんな一方で、こんな現実もある。日刊SPA!は9月1日に<年収100万円台の衝撃。トランクルーム1畳半に住む40代に聞いた>と題する記事を伝えた。小見出しは「窓のない約1畳半の貸し倉庫に住む」「同じ倉庫の人に盗まれて」。

 明かりの点灯は24時間可能だが、空調等はなく夏場などは「蒸し風呂」状態。小型の手持ち扇風機はあるが、音で「寝泊まりがばれそう」などで使えないetc悲惨さが記されている。

 トランクルーム増勢の時代。世の中、全てに「表」があるように「裏」もあるということか!?(記事:千葉明・記事一覧を見る

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