トヨタが北米拠点を集約 (1/2) カルフォルニアでバッシングを受けテキサツ州ダラスへ?

2019年10月7日 08:15

 米国トヨタは、カリフォルニアからダラス経済圏のプレイノ市に本社を移転した。それは、カリフォルニアのトヨタバッシングが原因でないとは言い切れない。

 当たり前のことだが、「永年の商売」を目指す創業家商売のトヨタが、短期的な条件により、重要な北米市場での軽はずみな拠点移動をするなどありえない。ビジネスモデルとして有効であるため拠点を移したことは確かだ。しかし、その全貌を理解することは、我々外部の者には不可能かもしれない。

 トヨタのテキサス州への拠点移動について、まず、立地条件が素人目には思い浮かぶ。しかし立地条件と言っても、単に交通の便が良いなどとは考えにくい。確かに空路、そして船舶・トラック輸送に便利なことがテキサス州の条件として思い浮かぶ。

 しかし、それも「サプライチェーン」の成り立ちを理解せねば予測がつかない。海路・トラック輸送がメインであると分かっても、「ジャストインタイム」に必要な搬入には1時間ごとのラインへの投入が必要だ。しかも、大型の部品については、かなりシビアに考えないと資金量が莫大になる危険もある。

 材料在庫、部品在庫、アセンブリ在庫、完成品在庫など仕掛の状況次第では、倉庫、運搬手段、管理要員など莫大な経費が考えられわけで、輸送コストはそれらの条件次第となるだろう。しかしそれも、在庫金額に比較すれば、輸送コストなど微々たるものかもしれない。これは、トヨタが考えるモジュラー設計などの設計思想に関わることで、サプライチェーンの見通しを見定めないと決まらないことだ。

 空路の利便性も挙げられるが、空路利用の主力は人材の移動であり、ジャストインタイムに直接影響しないことが大部分だ。通信が発達してきている現状では、情報のやり取りなどで人の実際の移動は制限される方向であろう。空輸による部品などの輸送は限られたものとなるであろうし、量的に少ないことが考えられる。

 総じて交通の利便性は、生産方式次第、設計思想次第と言える。すなわち、交通の利便性は第一の理由であり、第一の優先順位でないかもしれない。

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