北朝鮮SLBM発射か 軍事産業と自動車産業の関係は? (2/2)
2019年10月3日 18:05
■核バランスの上に成り立つ日本の平和と独立
これからアメリカと中国との覇権争いが長く続くと思われるが、アメリアにとって日本は絶対に手放せない同盟国となっている。もし韓国のように中国経済圏に入ろうとすれば、将来、アメリカは軍事力で支配してでも日本を従えておく必要が出ている。
【前回は】北朝鮮SLBM発射か 軍事産業と自動車産業の関係は? (1/2)
中曽根元首相の暴言と言われたが、「日本はアメリカの不沈空母」と言っても良い戦略拠点なのだ。アメリカの核戦略にとって、これは絶対の条件となっている。将来、日本が自由になれるとすれば、宇宙に核兵器を配備する技術が確立したらの話となろう。
■技術と潜水艦核装備
現在までのところ、日本の技術で北朝鮮のSLBM搭載潜水艦を発見するのは容易であろう。潜水艦探知の技術においては、「音」の探知が主であるからだ。
例えば、潜水艦はスクリューを回して前進するが、この音で発見されてしまうため、水をスクリューでかき分ける音を消さねばならない。そこで、スクリューの羽の加工精度の問題が出てくる。羽の形状と表面の面粗度が悪いと、音が発生してしまうのだ。
加工するNCマシニングセンターは巨大であり、細かい寸法を出すのは至難の業だ。それが出来る工作機械を作れるのは少数のメーカーにすぎない。日本の工作機械は世界最高の精度を誇っており、輸出規制の対象品目だ。
しかし、自動車など日本のメーカーが中国で生産を始めると、そうした高度な技術が中国に筒抜けとなり、人材も育って、今では日本に対抗するまでになっている。そうした技術が中国で軍事転用されないわけはなく、潜水艦建造技術としてもとりいれられてきている。
最近だが、航行するアメリカ空母打撃部隊を防衛するフリゲート艦などの円陣の中に、中国の潜水艦が突然浮上して姿を現すなどの事例がみられている。つまり、アメリカ軍の潜水艦探知能力でも捉えられない潜水艦を、すでに中国が建造していることを示している。
これで、中国のSLBM搭載原子力潜水艦が、アメリカ本土近くに回遊している危険が出てきたのだ。
■北朝鮮の原子力潜水艦が脅威になる日
現在の北朝鮮の潜水艦であれば、自衛隊でも発見は難しくはないと考えられる。しかし、中国や韓国からの民生品の流用が北朝鮮で続けば、遠からぬ将来、北朝鮮の潜水艦の発見も難しくなるかもしれない。
韓国が中国や北朝鮮に無思慮に近づくと、高度な技術流失が続いて危険な時がやってくる。今回の日本政府による輸出規制厳守の方針で韓国に対したのは、半導体関連だけでなく核バランスを壊すことへの警告とも受け取れるのだ。
日本など世界の技術先進国が「中国を工場」として利用してきたのは、軍事面でみれば危険なことだ。民生品の技術による平和的な自動車産業だったとしても、結果的に中国の兵器の開発に手を貸した状態となっており、極めて矛盾したことなのだ。
自動車産業は知識集約型産業で軍事技術とも密接な関係があり、本来は、平和を愛する国民にしか伝授してはいけないものと言えるだろう。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)