トヨタグループ1600万台規模に スバルに追加出資で持ち分法適用に
2019年9月28日 10:41
トヨタの世界戦略の様変わりが、表面に出てきている。「自前主義」・「系列主義」が、「仲間づくり」と称して実質支配力を強化してきている。これも日本的「買収」の形なのかもしれない。
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この背景には、激しい新技術開発競争がある。「自動運転」を先頭に開発費が膨大に必要で、トヨタは年間1兆円を新規技術開発につぎ込んでいる。これをスバル、マツダ、スズキなどの企業が独自に投入することは難しい。各社が寄り添って共同開発することが必要となっている。
今回、トヨタ自動車がスバルに対する出資比率を17%から20%に引き上げ、持分適応会社として経営に対しより強固な関係を築くことを狙っている。2017年秋に発覚したスバルの品質問題を助けるため、トヨタの管理技術TNGAなどの具体的進め方である「カイゼン」のノウハウなどをスバルに提供し、HV技術もすでにスバルに提供、2020年には両社のブランドで発売する計画が進んでいる。
トヨタは、スバルが持つ4WD技術の提供を受けることで、完全自動運転などEV時代のAWD技術開発に拍車をかける狙いがある。具体的には、トヨタ86/スバルBRZの次期モデルの共同開発などが挙げられている。
トヨタはマツダ、スズキなどとも資本関係を結び、徐々にではあるがグループ化を進め、開発費の分散を狙っている。そして1600万台に達するであろう生産規模の拡大は、新技術開発の費用を大幅に削減し、世界の各社に対して先行することを狙っているのであろう。
その手法は、日産カルロスゴーン元会長などの生産規模を拡大することだけを狙ったM&Aに比較すると、自動車産業のビジネスモデルを変化させていくストーリーを狙っており、大変健全な変化と言えよう。
ネット社会が引き起こす第4次産業革命に対応できるのか?日本の自動車産業のみならず、産業全体の健全性を保つうえで、好ましい変化と受け取るべきであろう。
トヨタは、日本国内の雇用も創出することを踏まえており、日本全体の産業構造の変化も健全にしようとしている。すなわち、全国民に対する公平な利益の配分を実現しないと、可処分所得が下がってきている状態では、日本社会が成り立たなくなる危険がある。
これを脱しようと金融産業の吐出があると、配分の不公平が広がり、結局、国内産業が疲弊し、「格差社会」を助長して不安定な政治状況に陥り、最悪、内戦の危険が現実味を帯びてくることとなる。「30年後の日本社会はトヨタ次第」というのでは何とも情けない。「地に足のついた策」を立てねばならないが、現在のファンドの動きを歓迎する短絡的な視野では、心もとない。
トヨタグループがソフトバンクグループなどと連携して、中国などではなく「日本の新産業を育てるファンド」となって、地に足のついたビジネスモデルを確立してほしいものだ。ソフトバンクの孫正義氏には、ぜひとも国民全体に利益が公平にわたることに注力してもらいたい。それには、トヨタのビジネスモデルを作り上げる努力に協力してもらいたいものだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)