自動制御のバグ 権威(自動車会社)に対して指摘するとクレーマー扱いも
2019年9月24日 17:40
日産自動車の新型スカイラインに搭載された「プロパイロット2.0」の評判が高い。ハンズフリーが許される場面があることが、注目されているようだ。
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高速道路で前車に追従走行している限り、手をハンドルにかけていなくてもよい。システムでは自車の360度全周に目が行き届いており、ドライバーの居眠りも検知して、視線を長いことはずして前方不注意となると警告を発する。そして、なおも運転をできる状態にないと、停車させるようだ。
しかし、これには自動運転と人間の運転の「つなぎ」があり、問題を起こしそうなポイントでもある。こうした自動制御が進むと、そのプログラムの「バグ」、つまり「誤り」の発生が懸念される。
バグがないと考えることは非現実的で、「バグ取り」がプログラマーの現実の仕事としては大変重要なのだ。これに「自動運転と手動運転のつなぎの問題」が絡むと、メーカーとドライバー、どちらに責任の所在があるのかが問題となる。事故や故障に繋がると、メーカーは「決して責任を認めない」と言ってもよい態度をとる。
ソフトウエアのバグを、それと認められる人も一般的には大変少ない。例えば、パソコンOSのウィンドウズには、まだまだ多くのバグがある。これを日々見つけていても、ユーザーにはどうすることもできない。メーカーが認めるわけもなく、商品としてこのような完成度でよいものであろうかと疑問に思う。これがもし自動車であったなら、「とんでもないこと」だ。
しかし、「バグ取り」に欠かせないのは、使用している現場(ユーザー)からの指摘(情報)だ。そこで、プログラムを作る過程でバグを取るにはAIがうってつけなのだが、AIによるバグ取りが実施できるようになるまでには、まだ時間がかかる。
AIが稼働しても、ユーザーがバグと感じたらメーカーに情報を上げ、検証していくシステムの構築が絶対に必要だ。しかし、メーカーは故障の情報、特にバグの情報に対してはユーザーを「クレーマー」としてしまい、相手にしない態度に出る。これによって、重大事故に至るまで犠牲者が止まらない結果を生む。
これまでも「リコール制度」が運用されてきたが、プログラムミス、つまり「バグ」と思われる情報をメーカーのディーラー整備士は真面目に取り上げないばかりか、「クレーマー」扱いして隠蔽に必死となる。これでは強制捜査も入らず、犠牲者が続くこととなる。三菱自動車のハブ・ドラムの不良で死者が出ても、なおかつ、数年に渡って隠蔽が続いた過去を忘れているのだろうか?結局、内部告発があって事件が発覚した。
残念だが、警察も事故処理について形骸化しており、裁判所の法廷ですら「法律理論の机上論」で済まされてしまう現実社会では、バグに対処できる体制が整うことはないように思える。
巨大な「ブランド」に問題を指摘することは、社会人として危険を冒すことになるのだ。一刻もはやく「ブランド志向」をやめ、「真実に向き合う」社会合意が出来上がらねばならないだろう。これからのAI時代の最も危険な問題点である。
しかも最近は、私たち自身の「ブランド」しか信じられない「心持」の中にあるのだ。しかし、この人間の「心持」が品質保証のかなめであり、トヨタ・豊田章男社長のスローガン「もっといいクルマをつくろうよ」に込められた「心持」なのだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)