日産の落日? トヨタ頼みの日本自動車産業 (1/2) 東北に生産拠点、雇用を生み出す

2019年9月18日 11:56

 2019年9月13日、対照的な2つのニュースが日本経済新聞に載った。1つは、カルソニックカイセイが国内4工場を2020年までに閉鎖し、500人程度の従業員が他工場へ再配置と発表したこと。

【こちらも】日産・西川社長辞任に追い込んだものは? SAR? それとも業績低迷?

 カルソニックカイセイと言えば、日産グループの下請け企業では有力なところだった。それがカルロス・ゴーン元会長の登場により、日産はこれまでの日本産業の象徴的制度であった下請け制度の解消を図り、下請け企業にも一サプライヤーとして独立を強いてきた。それでも、受注高の8割を現在でも日産が占める企業だ。

 日産は業績不振に陥っており、国内生産は2019年上半期、前年同期比16%減少した。国内売上高においても、2019年上半期では前年同期比7%減少している。これでは、生産体制の見直しを迫られるだろう。

 カルソニックカイセイは2018年に、イタリア大手マニエッティ・マレリの買収をしており、2019年10月以降には「マレリ」と社名を変更する予定である。生き残りをかけて採算のとれる生産体制をとるしかないのであろう。また1つ、日本の製造業を代表する企業が、無国籍企業となっていく。

 もう1つのニュースは、トヨタが東日本の生産拠点を拡充して、サプライヤー体制を築き、東日本地域にさらに2300人ほどの雇用を生み出しているということ。こうしてトヨタは日本経済に貢献する日本企業の役割を果たしている。

 2012年以来、トヨタ東北、関東自動車工業、セントラル自動車など有力な下請け企業を引き連れ、東日本大震災以後の復興の意味も込め、小型車の生産拠点をトヨタは東北地方に創り上げようとしている。

 これでトヨタは、北九州、中部、東北の3拠点を展開し、東北ではサプライヤーを1.5倍となる150拠点に増やしてきた。静岡県裾野市の東富士工場は東北に集約し、1千人ほどの従業員は東北に移転させるようだ。東北での生産は小型車であり、トヨタの主力車種である。コストを下げたいのは当然で、日本国内よりも人件費が安い海外工場に伍して、コスト削減にも努力しているようだ。

 地元のサプライヤーを起用していくのは、中部からの部品輸送のコスト高対策もあろうが、それよりも輸送の利便性を高めることで、ジャストインタイムの小ロット納品をすすめ、流通在庫や中間在庫を減少させて、資金効率を飛躍的に高める努力を続けているのだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

関連記事

最新記事