ホンダ・新型N-WGNのS07B型エンジン 古くて新しい技術「鏡面仕上げ」は効果抜群
2019年9月11日 09:21
ホンダの軽自動車用エンジンS07Bは、新型N-WGNに搭載されている。このエンジンに限らず、現在は「高熱効率」を求めてあらゆる努力がなされてきている。
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N-BOX以来のエンジンのため、新型エンジンと言うわけではない。2017年新型N-BOX登場の時搭載されたが、そのS07型エンジンは、ナトリウム封入式、また排気バルブをA型の途中で採用している。
それは、排気バルブにたまる熱を早期に排出してエンジン気筒内温度を下げ、耐ノッキング性能を上げることで、圧縮比を上げることを可能としてエンジン最高出力を上げると共に、燃費を上げる効果がある技術だ。
しかし、排気バルブのバルブステム(バルブの支柱)部分を中空構造としてナトリウムを封入することは、コストがかさみ、軽四輪自動車では苦しいところだ。これに対して、今回採用された「鏡面仕上げ」はコスト的にも楽であり、効果も上回るようだ。
その原理は極めて単純で、加工も比較的やりやすいとみられる。つまり、バルブの傘部分、エンジン気筒内の面を「鏡面仕上げ」にすることで、表面積を下げ、爆発による加熱面積を減らして温度上昇を防ぐものだ。
「ピカピカ」の鏡面のように磨き上げるだけなので、加工工程の増大を防ぎ、シンプルでコストの上昇を防ぐセオリーに適っている。こうしたシンプルで効果の大きな技術の積み上げで、潜在的故障率なども下げることが出来るため、機械設計技術としても優秀であると評価できる。
エンジン部品は多くが鋳造、鍛造で出来ており、それに機械加工をして、メカニズムとして機能するように出来ている。そのため機械加工を出来るだけせずに、精密鋳造、鍛造されたままで使えることがコストダウンにつながることとなる。
一般製造部品では、機械仕上げをしていないものも多く、機械加工をしていないと表面がザラザラで吸排気などの抵抗となり、エンジン性能を低下させる元となっている部品も多い。これがレーシングカーとなるとエンジンチューニングを施すことになるが、エンジン吸排気システムでも、「ピカピカ」に磨き上げることで最高出力をかなり上げることが出来るものだ。
ホンダはこうした技術的こだわりが強く、「高性能だがコスト高」となって現在、四輪部門の利益率が極めて少なく、近い将来赤字に転落するかもしれない状況なのだ。しかし、今回の「鏡面仕上げ」のようにシンプルでコストのかからない部品製作技術を積み上げることで、採算は取れてくる部分もある。
一方で、コストダウンの技術の多くは「混流生産」・「スウィング生産」などの生産体制にあり、他メーカーは世界規模で「平準化される量産体制」を実現しつつある。ホンダの危機は、この方面での立ち遅れであると考えられるのだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)