少子化時代に潤う、教育事業の実態
2019年9月9日 14:35
塾・予備校の類が好きではない。「高授業料」。その金を活かし留学でもさせた方が有意義と考えるからだ。いま孫をプレゼントしてくれた二人の子供には現にそうした。塾・予備校・大学の総費用に比べ、割安についたといまでも確信している。
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そしてありていに言えば、30年ばかり前の原体験が「好きではない」最大の理由である。当時、有名私立中学・高校進学向けの有名予備校があった。そしてその予備校に入るための塾があった。
夫婦揃って、長女と一緒に塾の「体験教室」に出かけた。講師はひたすら「問題」を黒板に書き「できた人は手を挙げて」と繰り返した。私は一問も分からなかった。親が出来ないような問題と取り組む塾など「糞くらえ」と怒りを覚えた。以来、とにかく塾云々の類は嫌いである。
がいま、塾・予備校が潤っているという。少子化の時代に、である。2015年夏に上場したイトクロという企業の業績推移をフォローしていて、悔しいけれど現実は看過できないという気にさせられている。
イトクロは教育関連のポータルサイトを運営している。主要なサイトは、以下の通り。
★塾ナビ: 幼児から高校生、かつ保護者の目線にフィットした塾・予備校を比較・検索できるサイト。斯界に明るい筋は「塾・予備校に関してのポータルサイトとしては、国内首位」とする。
★みんなの学校情報: 保育園・幼稚園にはじまり大学まで、選択に役立つ情報が得られるサイト。学校別の偏差値ランキングや「特長」などの内容が把握できる。
★家庭教師比較ネット: 家庭教師の派遣を手掛けている業者の検索サイト。3500件以上の業者に関する口コミや地域別ランキングが可能。
★医学部受験マニュアル: 国内大学の医学部の大方を網羅しており、合否に絡む偏差値や学費情報を知ることができる。在学中の学生の受験勉強法などの生の声に接することも可能。
★医学部予備校マニュアル: 医学部専門予備校や家庭教師派遣業者を検索できる。指導方法やカリキュラムの特徴、医学部に合格した生徒の事例を知ることもでき、勉強法を知ることも可能。
収入体系は、ポータルサイトに掲載される各学校に対し資料請求が求められた際に発生する課金がベース。
少子化時代が進捗する中で保護者は縮小しかねない経済社会に備え、我が子への投資を厭わない傾向を逆手にとっている。
同社の山木学CEOの履歴を見ると、学卒後に今日のための道を歩んできたような気さえする。まずリクルートに席を置き、その後カカクコムに転職。それぞれの敷地内で身につけたことが、同社に転じた後9年間でCEOに押し上げたともいえる。
上場後初の16年10月期の営業利益は13億7000万円。対して今期計画は23億5000万円。好き嫌いは別に、商売柄「成長企業」はウォッチしなくてはならない。(記事:千葉明・記事一覧を見る)