9月8日は土星が月に大接近 都会の空でも観測
2019年9月5日 18:36
普段星空に縁のない都会人にとって朗報である。9月8日は土星が月に大接近する。夕刻から夜半にかけて、月を眺めてみよう。月のすぐそば(満月2個分の距離)の位置に明るい星が輝いている。それが土星である。
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幸いにして土星の近くに土星よりも明るい恒星は出ていないため、月のすぐそばで輝いている一番明るい星が土星であることは、星空音痴にもすぐにわかるはずである。
星好きであれば、星の並びが頭の中に入っているため、恒星と惑星の区別はすぐにつくのだが、星に興味のない人にとっては惑星を見つけ出すのは、通常は至難の業である。だが、2019年9月8日は、幼稚園児にも土星を簡単に見つけられる日なのだ。
また、今年は土星の環が良く見える。と言っても肉眼ではどんなに視力の良い人でも無理なのだが。残念ながら双眼鏡でも土星の環は見えない。口径5㎝以上で倍率70倍以上の望遠鏡があれば、ちっぽけな土星だがちゃんとわっかが見える。しかも大都会でも確実に見える。
70倍で見る星空は、視野が猛烈に狭いのと、ちょっとの揺れも70倍に増幅されるため、頑丈な三脚と方角を微調整できる架台が装備された望遠鏡でなければ、楽しい観望はできない。
にわか天文ファンとしては、安物の望遠鏡には安易に手を出さないことが賢明である。もし購入を検討するのであれば、ショップでお勧め機種についてアドバイスをもらうほうがいいだろう。なお、70倍ではわっかは見えても土星の模様までは見えないので念のため。
実は9月6日にも木星が月に大接近する。その関係で9月8日に土星を見つけた人は、土星よりももう少し月から離れているものの、土星よりも明るい星を見つけることができるはずで、それが木星である。
木星は双眼鏡で見るとガリレオ衛星が確実に見える。運が良ければ4個、そうでなくとも1個は確実に大都会でも見えるため、双眼鏡を持っているのならぜひのぞいてみよう。ガリレオ衛星はガリレオが発見した4個の衛星を指す。運が良ければ4個見えると書いたのは、ガリレオ衛星は動きが速く、時刻によって位置が目まぐるしく変わるからである。
木星は70倍であればかろうじて模様が見える。ただし、コーティングの悪い望遠鏡では見えないため、木星の縞模様が見たいのならば、ショップでそのことを伝えてお勧め機種を推薦してもらおう。
あまり知られていないことだが、惑星は大都会でも肉眼で確実に見える。しかもちょっとお金を奮発して望遠鏡を用意すれば、土星も木星もしっかりと見える。
また、土星や木星がしっかり見える望遠鏡であれば、大都会でも光害カットフィルターを併用することで、星雲だってしっかり見える。アンドロメダ座の大星雲が今の時期は良く見えるのだが、200万光年の彼方に浮かぶ星雲を眺めるとこの宇宙に生まれたことに感動を覚えることだろう。(記事:cedar3・記事一覧を見る)