野村証券の誤発注を契機に感じた、シノケンGの上方修正の可能性
2019年8月26日 19:22
個人向け投資用アパートの販売で急成長を遂げたことで知られるシノケングループ(以下、シノケン)に、何が起きようとしているのか。何が起きているのか。
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そんな思いを抱かされたキッカケは、8月22日に野村証券が引き後に起こしたシノケングループ株の単一銘柄取引(立ち合い時間外に、同じ価格で同じ株数の売り買い注文を同時に行う取引)の誤発注だった。野村証券は翌日になって「2回に分けて10倍もの株数を発注した」と誤発注を認め、謝罪した。
私がシノケンにそもそも興味を持ったのは、介護施設の建設に止まらず「展開・運営」にまで踏み出してからだった。ちなみに前12月期でも「5.1%増収、8.3%営業減益、12.6%最終減益」という厳しい中で、介護施設部門(サ高住・デイサービス・グループホームなど)は全体に占める割合こそ低いが「15.3%の増収、106.1%の営業増益」となっている。
それはさておくとしても、いまこの時期のシノケンの単一銘柄取引は何を意味するのか。可能な範囲で調べてみた。以下のような事実に出くわした。
*今期計画も「19.3%減収、27.4%営業減益、24.5%最終減益」と厳しさを前面に立ち上がった。が、8月9日に開示された中間期決算では当初予想を大幅に上回る結果を残した。「売上高:425億円計画に対し507億7500万円、営業利益:36億円に対し60億9200万円、純益:22億円に対し38億3900万円」といった具合だ。だが通期計画は据え置かれた。
*チャートも「誤発注」の週のローソク足は陽線に転じ、13週移動平均線が26週線を下から突き抜ける「ミニゴールデンクロス」を示していた。現IHIを定年退職後「個人投資家を救いたい」を掲げ70歳過ぎにして「増田足」と呼ばれる独特なチャートを開発した御仁に故増田徳太郎氏がいるが、その提言「(株式投資に勝つのは)心理が8割、テクニックや知識は2割」に惹かれた多少なり齧った増田足も「上昇(ピンク線)」を示していた。
*本稿作成中の時価は8月23日につけた年初来高値909円の高値ゾーン。アイフィスジャパンが配信する斯界アナリストの上値予想の平均値であるIFIS目標平均株価は、1300円と時価より44%余り高い水準にあった。
あくまで推測の域は出ない。が、記した様な事実を総合的に判断する限り、「通期の減益幅予想縮小」そして「収益上方修正」というサプライズを株価は教えてくれているのではないかという思いに駆られる次第である。(記事:千葉明・記事一覧を見る)