ホンダ・アコードHVタイ生産に移行 税制優遇処置を目当てに新型シャトルもか?

2019年8月15日 08:40

 日本でもラストベルト(Rust Belt)が広がるのか?AIによる失業の前に、工場海外移転による「産業の空洞化」が進んでいる。アメリカのRust Beltはトランプ大統領を生んだが、日本ではどのような結果で終わるのか。

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 タイ政府が電動車のタイ国内での生産を促すため、電動車に対する「法人所得税・物品税・生産設備輸入税」などの減税に踏み切った。これを目当てに各社が動き始めたのだ。ホンダに続くのは、2021年三菱自動車のようだ。その後も各社が続くのは必須と見られる。

 ホンダHV車両は、NSXを除き全て国内生産だった。これを税制優遇のあるタイで生産すると、ホンダは決断した。58億2千万バーツ(約200億円)をタイに投資するようだ。狭山工場(埼玉県狭山市)でのアコード生産を終了し、四輪生産を21年度に終える計画だ。2輪車生産が残るとしても、雇用の減退は避けられない。これから需要の主力となる電動車の生産を日本国内から持ち出すこうした決断は、なりふり構っていられないホンダの状況を表している。

 ホンダ・アコードはホンダの主力上級セダンで、トヨタ・カムリ、日産・アルティマなどと並び称せられる存在だ。世界で約50万台の販売量で、日本国内では年間2千台ほどだ。いかにも日本市場は世界の中では小規模になってしまったのかを思い知らされる現実だが、「取るに足らない」と見れば見るほど、日本国内市場に合わせた商品企画もなされなくなる。

 勢い、経済的条件も加わって軽四輪自動車に傾斜していく。ホンダ・N-WGNなどが好調に推移しているようだが、雇用が失われることで、さらに経済的条件が悪化して軽四輪が売れてくこととなる。

 日本政府は企業の好成績に目を奪われ、日本国民の懐具合を振り返らなかった。給与の上昇を果たさなければ日本経済の将来はない。先般も行われた最低賃金の引き上げは、こうした日本経済の停滞から脱出するための決定だ。しかし、日本でのRust Beltの出現を許せば、アメリカのようにネット産業、金融産業などを中心とした産業構造を早期に実現しなければなるまい。

 すると、ホンダ・新型シャトルワゴンの登場がむなしく思えてくる。5ナンバー枠のクルマでも、電動車をラインナップするのでタイ生産となるのだろうか?AI・ネット生産が進んでも、雇用が増えなければ状況は厳しいものとなる。そして、トヨタは日本国内生産年間300万台を堅持できるのであろうか。名古屋の空き巣被害が減ってきたら要注意だ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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