【投資の真髄:トヨタ生産方式(10)】地域の「ディーラーとしての戦略的広告」
2019年7月16日 10:58
「提案型販売」とは「潜在市場を呼び覚ます」方策を仕掛けるわけだが、現在、物流やサービス業ではこの積極的動作が理解できていない。小売業や物流などでは「広告は不要」と考えている専門家も多い。「商店で広告はコストに合わない」と真剣に教えている。これは「戦略的広告技術」を知らないからだ。
【前回は】【投資の真髄:トヨタ生産方式(9)】資金効率は5~10倍の「提案型販売」
「商品ディスプレイ」「品揃え」などについては「売れ筋商品」を置くことに熱心だが、「売れ筋商品」は広告でどうにでもなる(変化する)ことを知らない。それがわかれば、「売りたいものを売る」と考えることで、8割の見せかけの在庫を必要としなくなるのだ。ガリバーの商法を大量の在庫で張り出すのではなく、「戦略的広告」で行うのだ。
■「提案型販売」には「広告技術」が連動しなければ効果はない
売れ筋商品だけだと、在来の商店と比較して「2割だけの商品在庫」で済むこととなる。単純計算すれば、「売り場面積も8割減」で良いこととなる。店員の「商品取扱い手間も8割減」で良いこととなる。しかし、2割の商品だけでは売れない。そこで「広告技術」を駆使することとなる。店内ディスプレイも含めた広告技術で必要な資金量が決まってくる。
(1)「売れる商品を仕入れる」のではなく、->「売りたい商品を仕入れる」ことにする。
(2)「仕入れた商品を出来るだけ早く売りつくす」ことを目指す。
これを実現する技術が「広告技術」なのだ。そのため「広告技術」の概念を変えないと「提案型販売」は成功しない。「広告」をイベントと勘違いしている人は、どうしても「提案型販売」の広告を無用なものと見てしまう。
■自動車ディーラーは、何故、打って出ないのか?
トヨタ生産システムに比較して、またコンビニと比較して、「これ良いでしょう!」と広告によって積極的に打って出ることを、物販商売、サービス業では「邪道」「効果なし」と思い込んでいる人が多い。それは、在来の広告技術が間違っているからなのだ。
これまで半世紀の間、日本市場で自動車は必要なので購入する意欲も必然性があった。その自然に広がってきた自動車の購買意欲にずっともたれかかって販売してきたのだが、いまや車を必要としない人も増え、人口が減る中で、市場が停滞してしまっている。その中で、ディーラーの営業は何もできないでいる。「何故、打って出ないのか?」と不思議にもなる。
ここからが勝負で、本来の営業活動が始まるのだ。現在のディーラーは、お客がネットで車種を選んで、購入をほぼ決めた状態で来店するのを待っているだけだ。成績の良い営業マンは、それをキャッチセールスよろしく「サインさせてしまう」だけのことをしている。決して自動車市場を広げようとはしていない。
だから自動車販売も、「提案型販売」を採用することが必要なのだ。これが田畑であったら、毎年「刈り取り」ばかりをしていると稲も育たなくなる。土壌を再生しないといけないのだ。それには何をしなければならないのか?メーカー任せにしないで、地域の「ディーラーとしての戦略的広告」を考えることだ。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る)